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低体温時に血液ガスデータは補正すべきか? [研修医教育]

 ずいぶん久しぶりの更新です。

 今日は救急外来でミニ勉強会をしました。これから毎週やっていきます。今日のテーマは血液ガスで、1年目の研修医の先生に丸投げしたのに(^^)、ちゃんとやってくれました。そこで看護師さんから出てきた質問の一つで、血液ガスデータは体温で補正すべきか?と言うのがありました。しなくて良いですよと応えたのですが、不安になったので調べてみました(^^)。

 UpToDateに参考文献としてこちらの文献があげられています。20年近く前の文献ですが。以下は私の下手な訳です。原文を是非チェックしてください。

「血液ガスデータの体温補正」

 患者の体温が著しく高かったり低かったりした場合には、血液ガス分析データの大きな変化があるという観察に基づき、患者の体温が著しく高かったり低かったりした場合に血液ガスデータ(pH、PCO2、PO2)を体温で補正することがルチンに行われている。補正しない血液ガスデータは誤りであるという噂にすぎない考えに臨床医を導く危険がある。この短絡的な考えにより、体温補正した血液ガスデータのみが正しいという風に考えてしまう。真実は単純である。患者の体温が著明に変化していたとして、我々は代謝や血管の機能、呼吸などの複雑さについて完全に理解していないということである。よって、著明に体温が上昇、あるいは低下した患者において、補正したデータが有用なのか、補正しない方が良いのかは不明である。37度で測定されたデータよりも体温補正したデータの方が良いという仮説を証明する論理的、科学的データは存在しない。事実、そのようなデータが存在する。ほぼ全ての環境において、補正したデータを利用することの有用性を示した文献はない。さらに、ルーチンに体温補正をすることはいくつかの不利益がある。一つ目は、補正したデータの解析は、我々が普段なれている方法とは異なることである。二つ目は、体温補正に用いられる体温は、患者から採血した時の体温であるということである。私の経験では、患者の正しい体温が検査室に報告されることは少なく、間違って報告されることもある。3つめは、得られたデータが補正されたものか、補正されていないものか混乱する場合があると言うことである。これまで得られたデータに寄れば、体温補正しない血液ガスデータをルチンに報告するべきだと考える。特別に依頼があった場合にのみ体温補正を行い、そのデータを臨床に用いる責任は、そのオーダーを出した医師にのみある。

 関係ないですが、こちらの動画是非ご覧ください。


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