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プリンペランは消化管出血に禁忌か? [医学関連]

 プリンペラン(一般名メトクロプラミド)という薬があります。吐き気止めの薬で、注射薬と内服があります。注射は救急外来で使いやすく、よく使われています。脳に入りやすい(脳幹に作用します)ので高齢者や小児では錐体外路症状に気をつけるとか、妊婦さんにはこちらがいいとか、色々ありますが、禁忌として「消化管に出血、穿孔又は器質的閉塞のある患者[本剤には消化管運動の亢進作用があるため、症状を悪化させるおそれがある 。]」というのがあります(インタビューフォームより)。

 しかし、同じくインタビューフォームには、内視鏡検査前に投与すると、嘔吐反応などが抑制されて検査がやりやすくなる(75%に有効)ともあります。消化管運動を更新させるために、胃の中にある血液が排出されて緊急胃カメラがやりやすくなると言う噂もあります。

 本当に使ってはダメなのでしょうか?UpToDateによればエリスロマイシンを使うことが推奨されています。プリンペランも載っていて、推奨はされていませんが、こちらの文献を引用し、特に不利益はなかったとしています。

 よって、禁忌だからと言って、吐血している患者さんにプリンペランを使ってはいけないという事はないです。そもそも、消化管を動かしたらより出血するというのなら、嘔吐させる方が危険ですよね。

 文献はメタアナリシス(色々な文献を集めて再解析したもの)で、エリスロマイシンとメトクロプラミドを使うと、再内視鏡(再出血すると言う事でしょう)の頻度は減るが、他のアウトカム(輸血量が少なくなるとか死亡率が減るとか入院期間が短くなるとか)は変わらなかったと言う事です。

 使うべきだとは言えませんが、少なくとも嘔吐していたら使って大丈夫でしょう。訴訟などになったら、こちらの文献を根拠にすればいいと思います、、、、、、、、たぶん。と言うかプリンペラン使ったぐらいで再出血するような病変は、何やっても出血するでしょう。


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