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挿管中の患者さんの不明熱をみたら副鼻腔炎を考えましょう [医学関連]

 ネタがない時にはICU roomです。

 経鼻挿管をされている場合には副鼻腔炎が起こるかも知れないと思いますが、経口挿管でも起こるそうです。以下は私の日本語訳です。

 院内発生の副鼻腔炎は、経口挿管されている重症患者の不明熱の一般的な原因である。

要約
 副鼻腔炎は、重症患者において良く認められるが、十分に理解されているとは言えない合併症の一つである。経鼻挿管とは関連があることが分かっているが、経口挿管後の発生については良く分かっていない。我々は日常臨床に役立つプロトコールを確立するために、当院での不明熱の患者における副鼻腔炎の頻度を調査した。

方法
 全ての発熱患者のうち、最初のスクリーニング(理学所見、細菌培養、胸部レントゲン)で熱源がはっきりしない患者に対して、副鼻腔のレントゲンを撮像した。副鼻腔のドレナージを含む、あらかじめ決めておいたプロトコールに基づき治療を行った。

結果
 351人の発熱患者のうち43.6%にあたる153人で熱源が予想された。副鼻腔のレントゲンは残りの198人(56.4%)で行われた。129人が明らかな異常、あるいは疑わしいと判断された。84人において副鼻腔のドレナージで膿が採取され、培養で陽性であった(特にPseudomonasとKlebsiella)。351人のレントゲン、細菌培養、副鼻腔ドレナージに対する反応などに基づいた熱源の最終診断は、57人(16.2%)が副鼻腔炎単独、48人(13.8%)では関連していると言うものであった。副鼻腔のレントゲンとドレナージが全ての患者で施行されていないので、この結果は本来の頻度よりも低いに違いない。

結論
 重症患者を治療する臨床医は副鼻腔炎の頻度が高いことを認識し、予防対策を行うべきである。例えば長期人工呼吸を必要とする患者から経鼻胃管を抜去することである。 不明熱の検査はCT、副鼻腔のレントゲンかエコー等を含めるべきである。異常が認められればドレナージを行うべきである。

 以下の本は不明熱についてコンパクトにまとめられていて勉強になります。が、副鼻腔炎は載っていませんでした。これを読むような人には、今回の記事の内容は常識であり、不明熱に入らないと言うことなんでしょうね(^^)。

この1冊で極める不明熱の診断学

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  • 作者: 野口善令
  • 出版社/メーカー: 文光堂
  • 発売日: 2012/06
  • メディア: 単行本



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