SSブログ

チームダイナミクス [講習会]

 今のACLSコース(ICLSコースでもそうらしいですね)では、チームダイナミクスと言うのが重要視されています。「dynamics」とは私のパソコンに付属の辞書によれば、以下のとおりです。

1⦅複数扱い⦆(一般に)力学(的原理);(肉体的精神的)原動力;(経済の)動学.
2⦅単数扱い⦆〘物理学〙力学, 動力学.
3⦅複数扱い⦆〘音楽〙強弱法, 音力法.
4 成長[変化, 発達]の型[歴史].

 ダイナミックと言うと程度がすごい(鹿屋弁では「わっぜー」)風に思いますが、そうとは限りません。動きがあると言うような意味ですね。ヘリカルダイナミックCTと言うのがありますが、螺旋状に(ヘリカル)激しく動くCTと言う意味ではありません(確かに内部の機械は激しく動いているのですが)。ダイナミックCTについては別記事を書きたいと思います。

 チームダイナミクスについてはプロバイダーマニュアルを買って読んでいただけると嬉しいですが、その中に相手の立場を理解すると言うのがあります。これが一番重要ではないかと思います。

 多くの受講生の方は、実技練習や実技試験でかなり緊張しましたと言われます。分かっていても指示が上手く出せなかったり、大事なことを忘れたりしてしまいます。

 その時に、私はいつも以下のような事を言っています。

 ですよね〜、緊張しますよね〜。実際の現場では医師がこの役割をしますが、今回思ったことを活かして、現場に役立てて下さい!

 振り返りで細かいことをたくさん言えませんから、以下に本当は言いたいことを書きます。型の如く3つです。

・治療対象は人形ではありません
 心肺停止の患者さんに遭遇した場合、コースだと目の前の人形だけですが、実際は自分が手術したばかりの患者さんだったり、家族が怖い人達だったり、診断がなかなかつかなくて悩んでいた患者さんだったり、、、、です。
 その患者さんが心停止しました!と言われた時のショックは大きいです。何もバックグラウンドのない人形ですら緊張するのですから、、、、

・現場は色々です。薬が出てこないこともあります。
 「アドレナリン1A投与して下さい」と言えば、コースではすぐ出てきますが、現場では、「あっ!昨日も心肺停止の患者さんが出ていて、薬の補充がまだでした!朝薬局にお願いしたんですが、、、」などと出てこないこともあります。
 また、「アドレナリンですか?」「えっと、、、アドレナリンありません、先生!」「いや、アドレナリンは一般名で、エピクイックと言うやつだよ!!」「あっ!先生ありました!」と言うこともあるでしょう。
 注射しようとしたら落としてしまったり、点滴が漏れたり、点滴が入らなかったり、、、と言うこともあります。コースのシナリオで受講生をいじめてあげようとする場合に入れる出来事ですが、実際の現場ではたくさんあります。

・人の意見に流されやすいです
 私のようなスキルも技術もない医者が、「気管挿管します!」と言った場合、怖い看護師さんが「挿管するんですか!?」と言うと、「えっと、、、、(じゃあやめとこうかな)」となってしまう場合があります。
 コースのインストラクターのように「そうですね!挿管しましょう!」と言うべきです(間違っていた場合には、建設的介入をお願いします)。

 よって、本当ならば体験出来ないチームリーダーの役割を体験してみると言うことは色々な発見があり、現場で役立てられると確信しています。

 うちの病院の医者はヤブばっかりだと思っている方がおられたら、是非あたたかい目で見て頂ければ嬉しいです。そうすれば、きっとこの病院は実は素晴らしい先生ばかりだったんだ!と思えると思います。
nice!(10)  コメント(8) 
共通テーマ:資格・学び

nice! 10

コメント 8

yangt3

自分がかかわっていた患者さんの急変に対応した時
主治医としてのショックは、本当に体験した人しか
わからないですね.
いつもなら簡単な処置が手が震えてできないとか
頭が真っ白になるなんて、リアルワールドでは日常茶飯事です.
そんな時には、周りの支えは本当にうれしいですね!
by yangt3 (2010-03-26 13:59) 

Kim

yangt3さん、コメント&nice!ありがとうございます。

私は外科医なので、術後に元気だった人が急変すると、、、、手が震えますね。本当に自分が死んだ方がましだと思う事もあります。

そういう時に、何も間違った事していないし、仕方ないよ〜と言ってくれる人がいたりすると少しほっとします。

by Kim (2010-03-26 14:38) 

さうざんバー

看護学生も、グループダイナミクスという現象があります(^^)良い方向に向かうと、ホント見ていて気持ち良いです(^^)

急変が起こると、ルチーンワークも満足に出来無い事はよくあります。そんな時、後で、ドクターと反省会が出来ると、随分お互い救われました(^^)
でも、そういう時に限って、大抵続くんですが・・・(^^;)
by さうざんバー (2010-03-26 20:36) 

エコピーマン

私は 医療従事者ではありませんが
娘・身内に医療従事者がおり 非常に勉強になり拝見しております
娘二人とも 高度救命に交通事故でお世話になりました
今では 不幸中の幸いで 元気に大きな後遺障害も出ず過ごしております
これからも 度々お邪魔させて頂いて勉強させて頂きます
by エコピーマン (2010-03-27 01:57) 

Kim

さうざんバーさん、コメント&nice!ありがとうございます。

グループダイナミクスと言うのもあるんですね。確かに複数で大きな力を出せる時ってありますね。教育者の腕の見せ所なんでしょうか。

はやり急変時の反省会ってやった方が良いんですね。

by Kim (2010-03-27 08:27) 

Kim

エコピーマンさん、コメント&nice!ありがとうございます。

分かりやすい記事を心がけていますが、理解しにくい時にはいつでもコメント頂ければ幸いです。

これからもよろしくお願いいたします。

by Kim (2010-03-27 08:28) 

たんぽぽ

わかりやすい記事参考になりました。
私は、助産師として働いていますが、ACLSの研修後チームダイナミクスが職場でも広められるといいなあと思っています。
緊急時に建設的な介入とか、相互の尊重が感じられない対応の方もいて、どうしたらチームとして成長していけるでしょうか?
日頃先生がチームダイナミクスが機能するために取り組んでいることなどありましたら是非教えてください。
by たんぽぽ (2010-11-10 13:04) 

Kim

たんぽぽさん、コメントありがとうございます。

どうしたら成長していけるかは難しいですが、時々みんなで向かっている先を確認する必要があるでしょうね。個人プレーではなく、チームで仕事をしているんだと。どうしても自分がほめられたいという人もいるでしょうから、そういう人はほめてあげるとか、、、、

取り組んでいることはあまり意識していませんが、一番効果があるのは飲み会だと思っています。が、逆効果の場合もあるようで、、、、、

朝手すりなどを消毒液をつけたタオルなどで拭いている看護師さんがいるのです(だいたいその勤務で一番若い人)が、「いつもありがとうございます」と言っています(もちろんですが、若いから声をかける訳ではありませんよ(^_^))。それから病棟、廊下などで出会った人には、出来るだけ声をかけるようにしています。

一番簡単なのは、朝挨拶することでしょうか。チームダイナミクスが出来ていない人は、きっと挨拶もしないでしょう。挨拶を返してくれなくても、ひたすら挨拶し続けます。するとそのうち挨拶を返してくれるようになります。

by Kim (2010-11-10 13:15) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。