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専門家とは何でしょう [研修医教育]

 先日SNSで喘息の人に造影CTなんてあり得ない、絶対するなと言う呼吸器内科の先生がいると聞きました。私はそんな専門医は必要ないと思います。若い医師の皆さんは是非そのような専門家にならないようにしてくださいね。

 医療で大切なことは、患者さんが困っている事を解決することです。解決できない問題ももちろんありますが、その場合には出来るだけ不利益が少なくなるように一緒に考えることが大切です。

 患者さんはもともと色々な問題を持っており、教科書やガイドラインに書いてある事が出来ない場合がたくさんあります。例えば以下のようなことです。

 造影CTを撮りたいが、腎機能が悪いため造影CTが出来ないと言われた
 今から緊急手術が必要だが、全身状態が悪すぎて麻酔科から手術を拒否された
 上部消化管出血が疑われるが、全身状態が悪くて胃カメラは出来ないと言われた
 くも膜下出血を疑ったので直ぐ脳外科に紹介したら、CTも撮らずに紹介するなと言われた

 上記の事は専門家として適切な対応かと言えば、そうではないと私は思います。私はへなちょこ外科医&救急医ですが、上記のこと、全て出来ますよ。だって、簡単です。出来ないと言えば良いんですから。腎臓が悪いから造影できない、こんな状態が悪かったら麻酔かけられない、胃カメラも無理、CTぐらい撮っておけよな。専門家である必要はないでしょう。若い皆さんも出来ますよね。

専門家とはなんでしょうか?


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後期研修医になるあなたへ [研修医教育]

 3年目の医師になる皆さんへの警告です(人によっては2年目だったり、5年目だったりするでしょう)。医師でない方は、医師の部分を自分の仕事に変えて読んでみてください。

 医師として2年間の初期研修を終える皆さん、大変お疲れ様でした。日々指導医に頻繁にチェックをしてもらわないと仕事が出来ない状態からやっと解放され、自分だけの指示で仕事が出来るようになります。

 やっと独り立ちだと喜んでいる人もいるでしょう。でも勘違いしないでください。みなさんは医師としての仕事のたぶん1割もマスターしていないでしょう。まだまだ多くを学ぶ必要があります。今まで通りの生活を続けましょう。今まで通り指導医にチェックをしてもらうべきです。まだ何も出来ない状態です。医学はそんな甘い物じゃありません。人間の身体はそんな甘くありません。

 私はもうすぐ医師30年目になりますが、毎日学ぶこと、反省することばかりです。

うっせぇわと思った方はこちら。


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急性冠症候群が疑われる場合に酸素を投与すべきか? [CPRの基礎]

 いつもこの言葉から始めてすみませんが、久しぶりの投稿です。

 蘇生のガイドラインが2020年度版として新しくなりました。日本のガイドラインも昨年出るはずでしたが、色々で少しずつ出ています。今回は急性冠症候群についてのガイドライン2020を紹介します。

 2015年のガイドラインでは、酸素を投与すると心筋梗塞の病変が大きくなる(あるいは酸素を投与しないと小さく済む)という論文があったため、酸素はルチン投与すべきでないとされており、これが誤解されて、酸素投与はしてはいけないという風に広まってしまった気がします。

 確かに酸素は血管収縮作用があり、また酸素が細胞に悪さをする場合もあるようですので、酸素投与にはリスクが伴うのは事実です。しかし、酸素がなければやはり細胞に悪さをします。

 ガイドラインには酸素投与をしてはいけないとは書かれておらず、ルチンに投与すべきでないと書いているのみです。

 ルチンとは、女性を見たら必ずLINEのIDを聞くとか、最初はビールとか、何も考えずに反射的に取る行動のことです。若い女性に限ってIDを聞くとか、今日は居酒屋なのでビールとか、何か考えがあって行うのは全く問題がありません。

 しかし、救急隊の方の中には、酸素をやるべきでないと思っている人がいて、胸痛の患者さんですが、SpO2が95%でしたので酸素はしてきませんでした!と胸をはって答える人がいます。患者さんはかなり胸を痛がっていたのに、、、、、、

 新しいガイドラインはこちらのP.23をご覧ください。

 推奨の文章はあまり変わっておらず以下の通りです。

低酸素血症のない(注1)AMI(急性心筋梗塞)またはその疑い患者(注2)に対して、ルーチン(注3)の酸素投与(注4)をしないことを提案する。(弱い推奨、エビデンスの確実性:非常に低い)。

注1:試験によって異なるが、正常酸素飽和度の定義をSpO2≧90%とする(これまで報告されたRCTの中でDETO2X-AMIの登録症例数が一番多く、inclusion criteriaがSpO2≧90%であったため)。なお、低酸素血症はPaO2≦60mmHgのことであり、SpO2では90%以下が該当する。
注2:AMI患者のうち、MIの既往、高度のCOPD、呼吸不全、心原性ショック、中心性チアノーゼ、その他の原因による呼吸困難を除外したもの。
注3:SpO2が90%以上であっても、頻呼吸や起坐呼吸、心原性ショックには酸素投与が必要。
注4:試験では6L/分以上の酸素マスク投与

続きを読みたい方はこちら


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