蘇生をいつ中止するのか? [CPRの基礎]
心肺蘇生は成功するよりも不成功に終わる方が多いです。治療に全然反応しない場合には、残念ながら、どこかで蘇生を辞めざるを得ません。いつ頃辞めるのが良いのか?多くの医療スタッフが悩む問題です。
一つの方法をご紹介します。それはカプノグラフィーを使う方法です。ヨーロッパ蘇生協議会のガイドライン2015に書かれています。蘇生を開始してから20分後の呼気二酸化炭素分圧が10mmHg以下であれば、蘇生の中止を検討しても良いかも知れません。
原文はこちらのP.112にあります。以下は引用です。
Low end-tidal CO2 values during CPR have been associated with lower ROSC rates and increased mortality, and high values with better ROSC and survival. Failure to achieve an end-tidal CO2 value >1.33 kPa (10 mmHg) after 20 min of CPR is associated with a poor outcome in observational studies. In addition, it has been used as a criterion for withholding extracorporeal life support in patients with refractory cardiac arrest.
一つの方法をご紹介します。それはカプノグラフィーを使う方法です。ヨーロッパ蘇生協議会のガイドライン2015に書かれています。蘇生を開始してから20分後の呼気二酸化炭素分圧が10mmHg以下であれば、蘇生の中止を検討しても良いかも知れません。
原文はこちらのP.112にあります。以下は引用です。
Low end-tidal CO2 values during CPR have been associated with lower ROSC rates and increased mortality, and high values with better ROSC and survival. Failure to achieve an end-tidal CO2 value >1.33 kPa (10 mmHg) after 20 min of CPR is associated with a poor outcome in observational studies. In addition, it has been used as a criterion for withholding extracorporeal life support in patients with refractory cardiac arrest.
VFからPEAになりました。さっきのアドレナリン投与から3分たっていないのにアドレナリンを打って良いのか? [CPRの基礎]
前回の記事の続き?です。蘇生の講習会では以下のようなことがあります。
心室細動(VF)のシナリオを実習中。電気ショックを1回行っても心室細動が続いていたので、もう一回電気ショックを行い、アドレナリンを投与しました。そして、先ほどの電気ショックから二分たちました。
受講生A 「リズムチェックをします!おっ!波形が変わりました。サイナスリズムですね。でも脈が触れません。PEA(無脈性電気活動)です。」
受講生B 「胸骨圧迫を再開します!」
受講生A 「PEAですので、アドレナリンを投与します。ルートはすでに確保されていますので、アドレナリン1mgを投与して、生食20mlで後押し、点滴の入った上肢を10〜20秒挙上してください!」
受講生C 「先ほどのアドレナリン投与からまだ2分しか経っていませんが、、、、、、」
優秀な受講生Aさんは、「では、アドレナリンを今から1分後に投与することにしましょう。」とか「いや、PEAではアドレナリンの投与が優先されますから、1回ぐらいはいいです。」とか言うでしょう。しかし、慣れていない受講生Aさんだったりすると「えっ!?PEAのアルゴリズムを見ると最初にアドレナリンとあるし、、、、、(どうしよう??)」となるかも知れません。
どうしたら良いのでしょうか?
心室細動(VF)のシナリオを実習中。電気ショックを1回行っても心室細動が続いていたので、もう一回電気ショックを行い、アドレナリンを投与しました。そして、先ほどの電気ショックから二分たちました。
受講生A 「リズムチェックをします!おっ!波形が変わりました。サイナスリズムですね。でも脈が触れません。PEA(無脈性電気活動)です。」
受講生B 「胸骨圧迫を再開します!」
受講生A 「PEAですので、アドレナリンを投与します。ルートはすでに確保されていますので、アドレナリン1mgを投与して、生食20mlで後押し、点滴の入った上肢を10〜20秒挙上してください!」
受講生C 「先ほどのアドレナリン投与からまだ2分しか経っていませんが、、、、、、」
優秀な受講生Aさんは、「では、アドレナリンを今から1分後に投与することにしましょう。」とか「いや、PEAではアドレナリンの投与が優先されますから、1回ぐらいはいいです。」とか言うでしょう。しかし、慣れていない受講生Aさんだったりすると「えっ!?PEAのアルゴリズムを見ると最初にアドレナリンとあるし、、、、、(どうしよう??)」となるかも知れません。
どうしたら良いのでしょうか?
H2ブロッカーはピロリ菌の感染診断に影響する? [医学関連]
ヘリコバクターピロリに感染していると胃がんになりやすいとか、鉄欠乏性貧血の原因ではないかとか色々言われるようになりました。ヘリコバクターピロリに感染しているかどうかを検査する方法は色々あるのですが、最も感度、特異度が高い検査として尿素呼気試験があります。この検査はPPIと呼ばれる胃薬を飲んでいると検査に影響が出て、偽陰性(ピロリ菌がいるのに、いないという結果が出る)となる可能性があり、PPIは2週間以上中止して検査すべきとされています。が、中止できないことも多くて困ります。
PPIはプロトンポンプインヒビター(proton pump inhibitor)の略で、胃から胃酸を出す最終段階のプロトンポンプと言うものの働きを弱くする薬です。ピロリ菌に対して静菌作用(増殖はしなくなるが死んではいない。検査するが分からしたら、かくれんぼしているような状態)を持っています。
よって、どうしてもピロリ菌を検査したくて、PPIを辞められない患者さんに対しては以下の二つの方法があります。
尿素呼気試験以外の方法でピロリ菌の検査をする。
PPIを別の薬(多くはH2ブロッカー)に変更する。
PPIをH2ブロッカーという別の胃酸を抑える薬に変えるのが結構簡単なので、好んで行っていますが、実はH2ブロッカーもピロリの感染診断に影響を与えるかも知れないのだそうです。知らなかった、、、、、、、
PPIはプロトンポンプインヒビター(proton pump inhibitor)の略で、胃から胃酸を出す最終段階のプロトンポンプと言うものの働きを弱くする薬です。ピロリ菌に対して静菌作用(増殖はしなくなるが死んではいない。検査するが分からしたら、かくれんぼしているような状態)を持っています。
よって、どうしてもピロリ菌を検査したくて、PPIを辞められない患者さんに対しては以下の二つの方法があります。
尿素呼気試験以外の方法でピロリ菌の検査をする。
PPIを別の薬(多くはH2ブロッカー)に変更する。
PPIをH2ブロッカーという別の胃酸を抑える薬に変えるのが結構簡単なので、好んで行っていますが、実はH2ブロッカーもピロリの感染診断に影響を与えるかも知れないのだそうです。知らなかった、、、、、、、
アドレナリンの投与間隔は何故3から5分なのか? [CPRの基礎]
心肺停止中のアドレナリンの投与間隔は、3から5分と言われていますが、最近はもっと短くても良いのではないか?と言うデータも出ています。3から5分はアドレナリンの半減期と一緒なのですが、何故半減期と同じ間隔で投与するのでしょうか?と言うのが今日のテーマです。
心肺蘇生の講習会では、アドレナリンの投与間隔は3から5分と教えられ、3分なのか、4分なのか、5分なのかの指示をしなければならず、3分と5分では偉い違いだなあ、、、、、、と思いながらも、最初はあまり疑問に思うことはないかも知れません。
また、シナリオ実習中に「アドレナリンを再投与してください!」と言うと、「まだ先ほどのアドレナリン投与から2分しか経っていません!(だから今投与してはダメです)」と言われたりします。そんな厳密に守る必要があるものなのか!と思わされます。
よって、インストラクターに「何故3から5分なのですか?」と質問すると、「アドレナリンの半減期が3から5分だからです。」と言われて、「へえ〜そうなんだ、、、、、、、」と思いますが、何故半減期と同じ間隔なのか?と言う疑問については答えが出てこないことがあると思います。
まず最初に半減期と同じ間隔についてです。こちらのリンクをお読みいただくと、半減期と同じ間隔で4〜5回薬剤を投与すると、ほぼ一定の血中濃度に達するとあります。私の記憶が正しければ(今それを確認する方法がないので)薬剤を半減期と同じ間隔で投与し続けると、初回投与の際の血中濃度の二倍になります。よって、半減期と同じ間隔で投与するのが一番血中濃度の予測が出来るからではないかと私は思いました。
さて、5回アドレナリンを投与したら血中濃度が一定になるのであれば、例えば3分ごとにアドレナリンを投与するとします。1回目のアドレナリンの投与は、心肺蘇生が始まってから5分後くらいです(初回の電気ショックは心停止から3分以内とされていますので、その2分後にアドレナリンの初回投与とすれば5分後です)。5回目のアドレナリン投与は心停止から17分後です。その間血液の循環は通常とは違いますので、半減期が本当に3から5分なのかも分かりませんし、最高血中濃度は17分後(5分毎に投与にしたら25分後)にならないとやって来ません。
だから、1回2回くらいは2分間隔で投与しても良いのかも知れません。あくまで「かも知れません」です。
心肺蘇生の講習会では、アドレナリンの投与間隔は3から5分と教えられ、3分なのか、4分なのか、5分なのかの指示をしなければならず、3分と5分では偉い違いだなあ、、、、、、と思いながらも、最初はあまり疑問に思うことはないかも知れません。
また、シナリオ実習中に「アドレナリンを再投与してください!」と言うと、「まだ先ほどのアドレナリン投与から2分しか経っていません!(だから今投与してはダメです)」と言われたりします。そんな厳密に守る必要があるものなのか!と思わされます。
よって、インストラクターに「何故3から5分なのですか?」と質問すると、「アドレナリンの半減期が3から5分だからです。」と言われて、「へえ〜そうなんだ、、、、、、、」と思いますが、何故半減期と同じ間隔なのか?と言う疑問については答えが出てこないことがあると思います。
まず最初に半減期と同じ間隔についてです。こちらのリンクをお読みいただくと、半減期と同じ間隔で4〜5回薬剤を投与すると、ほぼ一定の血中濃度に達するとあります。私の記憶が正しければ(今それを確認する方法がないので)薬剤を半減期と同じ間隔で投与し続けると、初回投与の際の血中濃度の二倍になります。よって、半減期と同じ間隔で投与するのが一番血中濃度の予測が出来るからではないかと私は思いました。
さて、5回アドレナリンを投与したら血中濃度が一定になるのであれば、例えば3分ごとにアドレナリンを投与するとします。1回目のアドレナリンの投与は、心肺蘇生が始まってから5分後くらいです(初回の電気ショックは心停止から3分以内とされていますので、その2分後にアドレナリンの初回投与とすれば5分後です)。5回目のアドレナリン投与は心停止から17分後です。その間血液の循環は通常とは違いますので、半減期が本当に3から5分なのかも分かりませんし、最高血中濃度は17分後(5分毎に投与にしたら25分後)にならないとやって来ません。
だから、1回2回くらいは2分間隔で投与しても良いのかも知れません。あくまで「かも知れません」です。