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最新のガイドラインでアドレナリンやバソプレシンはどうなったか? [CPRの基礎]

 2020年のガイドラインが出たのに、その話題について何も書いていませんでした。ブログを書くのは結構意欲が必要ですが、さぼっていて済みません。

 さて、今回はヨーロッパ蘇生協議会(ERC)のガイドライン2021からです。日本ではAHA(アメリカ心臓協会)のガイドラインが有名ですが、色々な国がCoSTRという基礎となる資料を基に、ガイドラインを出しています。CoSTRがAKB48で、アメリカではAHA(関西ではNMB48)みたいな感じです。

 今回は血管収縮薬について紹介します。英語が苦手な方は最後に訳を載せていますのでご安心を。

Give adrenaline 1mg IV (IO) as soon as possible for adult patients in cardiac arrest with a non-shockable rhythm.
Give adrenaline 1 mg IV (IO) after the 3rd shock for adult patients in cardiac arrest with a shockable rhythm.
Repeat adrenaline 1 mg IV (IO) every 3-5 min whilst ALS continues.
Consistent with the ILCOR treatment recommendation, the ERC does not support the use of vasopressin during cardiac arrest.
 
 ちなみに、ERCは3連続ショック(2000年ガイドラインまで行われていたもの)を以下の場合に行っても良いとしており、その場合には電気ショック1回と考える(つまり3連続ショックをした場合には、5回電気ショックをした後アドレナリン投与)とのことです。

The use of up to three-stacked shocks may be considered only if initial ventricular fibrillation/pulseless ventricular tachycardia (VF/pVT) occurs during a witnessed, monitored cardiac arrest with a defibrillator immediately available e.g. during cardiac catheterisation or in a high dependency area.
If 3 stacked shocks have been given for a witnessed and monitored shockable cardiac arrest, these initial 3 stacked shocks should beconsidered as the first shock with regards to timing of the first dose of adrenaline.

 ショックの適応ではないリズムの心停止(心静止や無脈性電気活動)の成人患者に対しては、出来るだけ早くアドレナリン1mgを静脈内投与する。
 ショックの適応であるリズムの心停止(心室細動や無脈性心室頻拍)の成人患者に対しては、3回目の電気ショック後にアドレナリン1mgを静脈内投与する。
 二次救命処置を続けているかぎりアドレナリン1mgを3〜5分ごとに繰り返し静脈内投与する。
 ILCORの治療推奨と同じく、ERCは心停止中にバソプレシンの投与をしないことを推奨する。

 心臓カテーテル室などで心リズムがモニターされており、除細動器がそばに合った場合の、初期リズムが心室細動か無脈性心室頻拍で目撃された心停止であった場合にのみ、3回までの連続電気ショックを考慮しても良い。
 心電図モニター装着中に心停止が目撃された患者に対して3連続ショックを行った場合、最初の3連続ショックはアドレナリンの初回投与のタイミングの点からは、まとめて1回目のショックと考える。

 ちなみに、AHAは3連続ショックを推奨していませんし、バソプレッシンを使ってもええけど、アドレナリンの代わりに使っても特に良いことはないでと言っています。それから、もちろんですが、電気ショックが不成功に終わった場合にアドレナリンを投与するとしていて、電気ショックが不成功に終わったことが分かるのは、ショックの2分後であり、直ぐリズムチェックして電気ショック!となりますから、一般的には電気ショックを2回してからアドレナリン投与になります。ERCより1回早く投与になりますね。

注:
 ILCORはInternational Liaison Committee on Resuscitationの略で、国際蘇生連絡協議会とでも訳すのでしょうか。ちなみに、illは病気、corは心臓という意味です。
 ILCORが出しているCoSTR(コスターと読み、ラテン語で肋骨という意味です)という文書が蘇生のガイドラインの基礎となる文書です。CoSTRは「International Consensus on Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care Science With Treatment Recommendations」の略で、日本語で言えば、「心肺蘇生と緊急心血管治療のための科学と治療の推奨に関わる国際コンセンサス」と長くなるので、CoSTRと言っています、、、、、、知らんけど。

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