SSブログ

H2ブロッカーはピロリ菌の感染診断に影響する? [医学関連]

 ヘリコバクターピロリに感染していると胃がんになりやすいとか、鉄欠乏性貧血の原因ではないかとか色々言われるようになりました。ヘリコバクターピロリに感染しているかどうかを検査する方法は色々あるのですが、最も感度、特異度が高い検査として尿素呼気試験があります。この検査はPPIと呼ばれる胃薬を飲んでいると検査に影響が出て、偽陰性(ピロリ菌がいるのに、いないという結果が出る)となる可能性があり、PPIは2週間以上中止して検査すべきとされています。が、中止できないことも多くて困ります。

 PPIはプロトンポンプインヒビター(proton pump inhibitor)の略で、胃から胃酸を出す最終段階のプロトンポンプと言うものの働きを弱くする薬です。ピロリ菌に対して静菌作用(増殖はしなくなるが死んではいない。検査するが分からしたら、かくれんぼしているような状態)を持っています。

 よって、どうしてもピロリ菌を検査したくて、PPIを辞められない患者さんに対しては以下の二つの方法があります。

 尿素呼気試験以外の方法でピロリ菌の検査をする。
 PPIを別の薬(多くはH2ブロッカー)に変更する。

 PPIをH2ブロッカーという別の胃酸を抑える薬に変えるのが結構簡単なので、好んで行っていますが、実はH2ブロッカーもピロリの感染診断に影響を与えるかも知れないのだそうです。知らなかった、、、、、、、

 迅速ウレアーゼテストと言って胃カメラの時に胃の粘膜をとって、それを薬液につけて数分で結果が出るという検査があります。その検査試薬のの添付文書には以下のような記載があります。

「H2ブロッカー製剤はヘリコバクターピロリの消長には影響を与えませんが、大量投与者や悪性貧血患者及び過去に胃の手術をした患者等では 、無酸症の合併によって組織表面のpHが変動(上昇)し、本法の測定原理(pH指示薬のpH変動による呈色反応)では偽陽性となることがあるので、培養法等他の方法の結果と併せて判定してください。」

 つまりピロリ菌がいないのに、ピロリ菌がいると言う結果になる可能性があると言うことです。

 尿素呼気試験で使う検査薬ユービットの添付文書にはH2ブロッカーが影響を与えるという記載はありませんので、大丈夫だと思ったのですが、こちらのページ(どこかの病院のサイトです)には「除菌後に頻用されるチザノン等のH2ブロッカーに関しては、データはないが、偽陰性を生じることがないとも言えないとのメーカーの回答」とのことです。以下にもメーカーらしい責任のがれ感満載ですが、、、、、、

 H2ブロッカーは影響しないと思っていたのでビックリ。可能ならば胃薬は中止すべきなのでしょうが、そんなことはほぼ無理なので、採血や便、尿などの検査をするしかないでしょうね。採血や尿検査は薬の影響は受けないと思われますが、除菌判定が難しいでしょうね。


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。