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ガイドラインに書いてあるだけでいいですか? [研修医教育]

 ガイドラインばやりです。最近は、存在しないガイドラインはないのではないかと言うぐらい、多くの分野でガイドラインが作られています。外国ではあり得ない話のようですが、日本では訴訟の資料に使われてしまいますので、ガイドラインは必ず読んで、出来ればそれに忠実に従うべきだという感じになりつつあります。

 臨床の現場でも、ガイドラインに書いてあるから、それはダメだよとか、それはガイドラインに沿っているね等という会話がされています。

 果たしてそれでいいのでしょうか?

 例えば、日本合コン医学会のガイドラインに以下のような物があります。

 合コンには高級な腕時計をして行くべきである(グレードB)。

 これを見て、そっか!今から高い時計を買いに行くぞ!と思ったあなた。それだけで合コンが成功すると思いますか??

 それと同じで、医療のガイドラインはそんなものなのです。ある人がガイドラインはカーナビだと言っていましたが、すごく適切な例えだと思います。ガイドラインはあくまで無難な方法を示しただけで、絶対にその通りにしなければならないわけではありませんし、その通りにしていればベストとも言えないのです。

 ガイドラインで大切なのは、その理由です。先ほどのガイドラインの解説は以下の通りです。

 時間は携帯で確認すれば良いと言う考えもあり、時間を確認するだけならばそれでも良い(クラス2b)が、時計には別の意味がある。
 拡張自我と言う言葉がある。人は自分の持ち物も自分そのものであると考える傾向がある。高級な腕時計を身に付けていると、自分は高級腕時計をするような人間なんだと思う様になると言う心理学用語である。
 戦争においては捕虜となった者は、着ていた軍服などを脱がされ、粗末な薄手のシャツなどに着替えさせられる。たったこれだけの事でその捕虜は戦意を喪失する。拡張自我が失われてしまうのである。
 人間は自信を持つ事が成功への第一歩であり、高級腕時計を身に付ける事が合コンでの成功に繋がると考えられる。

 これを読んで論理が破綻していると思えば、それで良いですし、その通りだ!と思えばそれで良いです。大切なのは、どう言った資料に基づいて、どう言った判断をしているのかをチェックすることです。ガイドラインによっては、作成委員の何割がこの推奨に賛成かという事が載っている物もあります。作成委員の間でも意見が割れることがあるのです。

 よって、「ガイドラインにはこう書いてあるから、それはダメだよ!」と言うのは最も良くない対応です。「ガイドラインにはこう書いてあって、理由は○○だから、それは辞めた方が良いかも知れないね。」と言いましょう。個人的にはかも知れないと言うのが大切だと思います。



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