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オーバートリアージは許容しましょう [雑談]

 平成30年10月4日の未明に緊急地震警報が鳴りました。私は気がつかなかった(^^)のですが。
 そして、結果的に大きな地震ではなかったようで、何故そんなんで鳴るんだ!みたいな意見が散見されます。

 最初に言っておきましょう。こう言う場合、「何もなくて良かったね!」「これからも、この作業を同じように続けてくださいね!」と反応すべきです。緊急地震警報に関係する皆さん、多くの人が睡眠不足になるぐらいきちんと動作するシステムを作ってくださり、ちゃんとメンテナンスしてくださり、ちゃんとどうさせてくださりありがとうございます。これは皮肉ではありません。

 検査は、100%正しく結果を出すことは難しいです。100%を目差そうとすると、必ず不都合が出ます。詳細は色々調べて戴けば良いですが、誤報を避けようとすると、どうしても漏れが生じて必要な警報が出ない場合があります。
 警報を発するという場合、やはり、必要な場合に警報が出ないのはまずいので、感度を高くする必要があります。そうすると、特異度を犠牲にせざるを得ず、警報が鳴ったとしても、地震は軽いという事が起こり得ます。

 以下に仮想のデータを載せます。
      避難が必要な地震あり  そのような地震なし
警報あり     90回          10回      100回
警報なし     10回        10000000回   10000010回

 この場合感度は地震があった場合に警報を発した割合で、90÷(90+10)=90%です。地震があったのに警報が鳴らないのは問題ですので、感度を高める、つまり警報なしの場合地震が起こる頻度を下げる必要があります。そうすると、どうしても、警報なしの数が減ります。逆に警報ありで地震なしの割合が増えます。どこに警報を出すか出さないかの基準を置くかで検査は色々違ってきます。医療でも、この検査は疾患を見逃さないように使うのか、診断を確定するのに使うのか?感度や特異度がどのぐらいなのかを考えて使います。

 繰り返しになりますが、見逃しては困るものを調べる場合、感度を高くします。この場合は地震を警告するのですが、医療であれば、心筋梗塞とか動脈解離とか、そういう物を調べたい場合、感度が高いものを使い、心筋梗塞ではないのに心筋梗塞じゃないか?と診断されることは許容すべきです。心筋梗塞や動脈解離を見逃したら困るからです。地震も見逃したら困りますよね。

 童話「嘘つきな羊飼い」は、Wikipediaによれば、「嘘をつく子供」というタイトルのようです。「オオカミ少年」などとも言われていますね。昔の人がすでに警報を無視することの危険性を警告しているのです!

 警報が誤報を繰り返すため、警報を信用しなかったとか、警報が鳴らないようにしてしまったために発生した事故はたくさんあります。飛行機事故でも、そう言う事例が散見されます。

 警報が鳴った場合、面倒でも必ずチェックするべきです。チェックしなかったり、警報が鳴らないようにしたために起こった悲劇は病院でもあります。何のために警報をつけているのか良く考えましょう。

・警報を機械が鳴らす場合には、設定を変更しないようにしましょう。
・警報を人が発する場合には、発した人に感謝をしましょう。
・警報が鳴った場合、毎回必ず対応しましょう。
・もし何もなかった場合、何もなくて良かったね!と反応しましょう。

 心電図モニターが多くありますが、しょっちゅう鳴るのであれば、何かその人の状態に問題があるはずです。必ずそれらを探しましょう、考えましょう。頻繁にアラームが鳴るのは変です。無視したいのであれば、その人にモニターをつける必要がないのではないですか?

 心肺停止ではないか?とコールをした看護師さんがいたとします。何だ、何でもないじゃないか!と怒ってしまうと、次からその看護師さんや周囲の人は緊急コールをする時にちゅうちょします。本当に心肺停止であれば、ちゅうちょしている数秒でも患者さんに大きな不利益をもたらします。緊急コールは気軽にしてもらえる環境を作るべきです。

 警報が鳴った場合、アラームを停止するだけでなく、必ず患者さんを見に行きましょう。アラームをつける理由がある患者さんのアラームが鳴ったのであれば、患者さんのところに行かない理由はありません。

 夜中に電話で起こされた場合、辛いですけど、「呼んでくれてありがとう。また他にも心配なことがあればいつでも起こしてください!」と言いましょう。

 パイロットは言いにくいことがあっても言えるよう、言ってもらえるような訓練もするようです。機長が偉い人だったので言えなくて起こったのではないか?と言う事故があります(例えばテネリフェ島の事件詳しくはこの項参照)。病院でもそういう事が起こってしていると思いますが、頑張って気軽に疑問点は言い合えるような職場を作っていきましょう。



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