SSブログ

心電図の自動解析は信用して良いか? [医学関連]

 心電図は多くの患者さんに行われている検査です。救急外来でも心電図検査を行わない日はありません。しかし、以前も書いたように、心電図の解析に自信があるという人は少ないです。

 現在使われている心電図の器械は、ほぼ8割以上らしいですが、自動解析装置がついています。つまり、心電図をとれば、その結果に器械の解析結果がついてくるのです。正常だとか、心筋梗塞疑いだとか出てきます。

 そう言った結果が出てきて、自分の見立てと違った場合に、どちらを信用したら良いのか?と迷いますが、それらを検討した研究はないのか探してみました。すると、こちらのような資料がありました。

1124の心電図を自動解析と循環器内科医6人の判断で比較しています。細かいことを言えば、循環器内科の先生の間で意見が割れたらどうするのか?という突っ込みが出来ますが、まあ、とにかく、正解は循環器内科の先生の判断とすると、たぶんですが、感度、特異度ともに99%近いです。特に特異度が高く、自動解析が心電図が正常であると判断した場合、ほぼ間違いなく正常心電図です。

 よって、入院時など特に循環器疾患を疑っていない場合、心電図の解析が異常なしであれば、ほぼ異常なしと考えて良いです。良かったです!!!

 しかし、異常の判断、特にSTの上昇などには弱い(といっても、私が読むよりは強いはず)ようなので、異常があったとしても異常だとは限りません。

 また、心筋梗塞を疑ったのに異常がなかったとしても、NSTEMIという病態がありますので、注意が必要です。一般的に可能性が高いものを否定できるほど検査は確率を下げませんので、意外な結果が出た場合には、この検査は出来なかったと考えて行動すべきです。

 例えば、糖尿病があって、たばこを吸っていて、ご両親が心筋梗塞で亡くなっている60歳男性が胸痛を訴えて来院した場合、それだけで心筋梗塞の可能性は90%以上でしょう(あくまで適当ですが、多くの医師が60%以上であると考えると思います)。心筋梗塞を疑って心電図をとりましたが、異常はありませんでした。
 では、心筋梗塞は否定できるのか?というと、否定は出来ません。心電図はとれなかった、あるいはNSTEMIであると考えて行動します。決して心筋梗塞を否定してはなりません。昨日紹介したWellens症候群だったら、発作時は心電図は異状がないのですから!

 しかし、骨折で来院した患者さんの入院時スクリーニング検査でST上昇を認めたとしても、これは正常範囲内であり、病気ではない可能性が高いです。もちろん循環器内科の先生に相談しても良いですが。

 検査は可能性が高いものをさらに可能性を高めるために使うのが一番良いです。

 ちなみに、先日受験した心電図検定の合格発表がありました。私は1級合格してました!これからもますます精進します!以下は、その検定の参考書です。毎日見ていればだんだん分かるようになります!


実力心電図―「読める」のその先へ

実力心電図―「読める」のその先へ

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本不整脈心電学会
  • 発売日: 2018/04/01
  • メディア: 大型本



nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。