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心拍再開はあえてROSCと言おう! [CPRの基礎]

 心肺蘇生の講習会では、色々なシナリオが提示され、最終的には人形の頚動脈の脈が触れるようになります。受講生の方は「心拍再開しました!」とか「ROSC(ロスク)しました!」等と宣言し、シナリオが終了します。

 今日のお話は、心拍再開という言い方は変ではないか?と言う疑問についてのお話です。

 昨日の記事に書いたのですが、心拍は心電図などで心臓の拍動を見たものであり、脈が触れるかどうかは分かりません。例えば、心肺蘇生をしていて、PEAの状態(心電図に心室細動や心室頻拍、心静止以外の波形が出ているのですが、脈が触れない)になった場合、心臓の電気信号があるため、心拍はあると言えるのではないかと思いますが、心臓は動いていませんので、脈拍は触れません。しかし、これは心拍再開ではないかと思うのですが、何故か心拍再開したとは言いません。PEAでは心臓の電気信号があるけれど、心臓は動いていないからと言う理屈もあると思いますが、それでは心臓が動いているとどうやって判定すれば良いのでしょうか?

 もし、心拍が再開した場合には、脈が触れることが大切ならば、心拍再開ではなく、脈拍再開とでも言わなければならないのではないでしょうか?

 救急医学会の用語集では心拍再開とは「心肺停止状態から頸動脈あるいは上腕動脈の脈拍が触れるようになった場合」と定義されています。やはり、脈拍が大切です。

 英語ではROSCと言うのですが、return of spontaneous circulationの略です。直訳すれば「自発的な循環の再開」とでも言うのでしょうか。ROSCの確認は脈拍だけでなく、体動とか、自発呼吸とか、意識レベルとか、そう言った物で総合的に判断しますので、circulationと言っているのでしょうか。それならば、heart beatではなく、circulationと言っているところを日本語に上手く訳せたら良かったのでしょうね。

 そういう訳で、日本合コン医学会では、自己心拍再開のことを、ROSC(ロスク)と呼ぶことを推奨します。みんなで心拍が戻って落ち着いて良かったね!とラスクを食べられるようなイメージですね。

 群馬にはガトーフェスタ・ハラダと言う有名なラスクの会社があります。東京や大阪などのデパ地下では行列が出来るようですが、高崎駅のお店ではすぐ買えます。群馬に来られた際には是非お立ち寄りください。


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