患者さんを胃腸炎と診断して良いですか? [研修医教育]
以前勤めていた病院のブログ記事のほぼ引用です。私が書いた物だから、良いと思います、、、、、、、、、たぶん。ちなみに、この病院のこのブログは古い物で、新しいのはこちらです。
当直をしていると、腹痛の患者さんが来られます。きちんとお話を聞き、診察をして、大きな異常がなさそうだと分かると「急性胃腸炎」と言う病名になる事が多いでしょう。しかし、本当にそれで良いですか?と言うお話です。
多くの患者さんを日々診療させて頂くと、だんだん慣れてしまい、また胃腸炎か、、、と言う風になってしまいます。しかし、腹痛の鑑別診断はたくさんあります。感染症で有名な青木眞先生は、胃腸炎のような症状の患者さんが来られたら、まず腹部以外から考えると言われていました。肺炎、心筋梗塞、大動脈解離、腎梗塞、尿管結石、、、、糖尿病性ケトアシドーシス、急性間欠性ポルフィリン症なんてのもあります。
疲れていて、忙しくて、、、、大変ですが、頑張って鑑別診断をしましょう。色々な病気の可能性を考えると言う事は、キャッチボールや素振りをするのと同じです。イチローでもキャッチボールや素振りを毎日するでしょう。素人レベルの我々も、毎日鑑別診断を考えるようにしたいですね。
この人は心筋梗塞じゃないか?バルビツール系の薬を注射して発症しているから、急性間欠性ポルフィリン症??いや55歳だけど子宮外妊娠かも?
外れだったとしても、鑑別診断を色々考えた事は、必ず今後で会うであろう患者さんや自分の役に立つはずです。CVや挿管に成功するよりも、外れだけど沢山の鑑別診断を考える事を繰り返す事の方が患者さんを救うと確信しています(最新の救急に関するエビデンスでも挿管やCVの効果は認められていませんよね)。
と、私が言っても誰も聞いてくれないでしょうから、偉い先生達のお言葉を紹介します。患者さんの診療をするのにだいぶ慣れてきた今、再確認しておきましょう。
まず「ドクターズルール238(福井次矢訳、南江堂)」からです。
「ルール120
確かに消化不良であるとわかるまでは、複数の冠状動脈疾患危険因子を持つ40歳以上の患者には消化不良などありえないと考えること。」
次は、マッシー池田先生のホームページです。
「心筋梗塞患者は胸痛を訴えると思っていると,ほとんどの心筋梗塞を見逃すだろう」
ER流研修指導医心得47(P.54-56、加藤博之著、羊土社)
「本当の救急は別の顔をしてやってくる。」
著者の調査では心筋梗塞の患者さんの13%は胸痛以外の主訴で来院されたそうです。
日々是よろずER診療(泊慶明著、三輪書店)
一番最初の症例は下痢で来院したのですが、脳出血だったと言うのです。他にも心筋梗塞だった、糖尿病性ケトアシドーシスだった、子宮外妊娠だったと言う症例が載っています。
レジデントノート増刊「感染症診療の基本」Vol.12, N0.6:1077ー1078
「"急性胃腸炎には気をつけろ"とよく言われ、その中には思わぬ疾患が隠れている。」
胃腸炎と診断して入院させたらレジオネラ肺炎だったそうです。
レジデントのための感染症診療マニュアル第2版(P.649、青木眞著、医学書院)
「発熱、嘔吐、下痢などの〔急性(胃)腸炎〕的症状を呈する疾患は消化器の内外、感染症・非感染症を含めて広く存在することを忘れてはならない。急性腹症診断の古典に「〔急性(胃)腸炎〕と言う診断は診断できていない病態にとりあえず無難な名前を与える行為であることが多い」という言葉は、臨床医が常に念頭に置くべき言葉である。」
最後に福井大学の寺沢秀一先生のお言葉です。
救急診療の極意(P.185、羊土社)
「急性胃腸炎って診断カルテに書くときに、本当に急性胃腸炎でいいんだろうかって罪悪感を感じる医者になって下さい。」
私も同じ事を思います。最後にもう一度言います。
「急性胃腸炎って診断カルテに書くときに、本当に急性胃腸炎でいいんだろうかって罪悪感を感じる医者になって下さい。」
当直をしていると、腹痛の患者さんが来られます。きちんとお話を聞き、診察をして、大きな異常がなさそうだと分かると「急性胃腸炎」と言う病名になる事が多いでしょう。しかし、本当にそれで良いですか?と言うお話です。
多くの患者さんを日々診療させて頂くと、だんだん慣れてしまい、また胃腸炎か、、、と言う風になってしまいます。しかし、腹痛の鑑別診断はたくさんあります。感染症で有名な青木眞先生は、胃腸炎のような症状の患者さんが来られたら、まず腹部以外から考えると言われていました。肺炎、心筋梗塞、大動脈解離、腎梗塞、尿管結石、、、、糖尿病性ケトアシドーシス、急性間欠性ポルフィリン症なんてのもあります。
疲れていて、忙しくて、、、、大変ですが、頑張って鑑別診断をしましょう。色々な病気の可能性を考えると言う事は、キャッチボールや素振りをするのと同じです。イチローでもキャッチボールや素振りを毎日するでしょう。素人レベルの我々も、毎日鑑別診断を考えるようにしたいですね。
この人は心筋梗塞じゃないか?バルビツール系の薬を注射して発症しているから、急性間欠性ポルフィリン症??いや55歳だけど子宮外妊娠かも?
外れだったとしても、鑑別診断を色々考えた事は、必ず今後で会うであろう患者さんや自分の役に立つはずです。CVや挿管に成功するよりも、外れだけど沢山の鑑別診断を考える事を繰り返す事の方が患者さんを救うと確信しています(最新の救急に関するエビデンスでも挿管やCVの効果は認められていませんよね)。
と、私が言っても誰も聞いてくれないでしょうから、偉い先生達のお言葉を紹介します。患者さんの診療をするのにだいぶ慣れてきた今、再確認しておきましょう。
まず「ドクターズルール238(福井次矢訳、南江堂)」からです。
ドクターズルール238―医師の心得集〈第2集〉 (医師の心得集 (第2集))
- 作者: CliftonK. Meador
- 出版社/メーカー: 南江堂
- 発売日: 2001/02
- メディア: 新書
「ルール120
確かに消化不良であるとわかるまでは、複数の冠状動脈疾患危険因子を持つ40歳以上の患者には消化不良などありえないと考えること。」
次は、マッシー池田先生のホームページです。
「心筋梗塞患者は胸痛を訴えると思っていると,ほとんどの心筋梗塞を見逃すだろう」
ER流研修指導医心得47(P.54-56、加藤博之著、羊土社)
「本当の救急は別の顔をしてやってくる。」
著者の調査では心筋梗塞の患者さんの13%は胸痛以外の主訴で来院されたそうです。
日々是よろずER診療(泊慶明著、三輪書店)
一番最初の症例は下痢で来院したのですが、脳出血だったと言うのです。他にも心筋梗塞だった、糖尿病性ケトアシドーシスだった、子宮外妊娠だったと言う症例が載っています。
レジデントノート増刊「感染症診療の基本」Vol.12, N0.6:1077ー1078
「"急性胃腸炎には気をつけろ"とよく言われ、その中には思わぬ疾患が隠れている。」
胃腸炎と診断して入院させたらレジオネラ肺炎だったそうです。
レジデントのための感染症診療マニュアル第2版(P.649、青木眞著、医学書院)
「発熱、嘔吐、下痢などの〔急性(胃)腸炎〕的症状を呈する疾患は消化器の内外、感染症・非感染症を含めて広く存在することを忘れてはならない。急性腹症診断の古典に「〔急性(胃)腸炎〕と言う診断は診断できていない病態にとりあえず無難な名前を与える行為であることが多い」という言葉は、臨床医が常に念頭に置くべき言葉である。」
最後に福井大学の寺沢秀一先生のお言葉です。
救急診療の極意(P.185、羊土社)
「急性胃腸炎って診断カルテに書くときに、本当に急性胃腸炎でいいんだろうかって罪悪感を感じる医者になって下さい。」
私も同じ事を思います。最後にもう一度言います。
「急性胃腸炎って診断カルテに書くときに、本当に急性胃腸炎でいいんだろうかって罪悪感を感じる医者になって下さい。」
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