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挿管前の圧迫と換気は非同期ではいけないのか? [CPRの基礎]

 心肺停止状態の人には心肺蘇生を行います。心肺蘇生の手技で大切な物の一つは、胸骨圧迫と人工呼吸です。どちらも大切なのですが、その割合も大切であり、現在は胸骨圧迫を30回(圧迫は100から120/分の速度)行った後に、人工呼吸を二回(1回1秒かけて、10秒以内に行う)するようになっています。これを「圧迫と換気は30:2で同期して行う」と言います。しかし、気管挿管など高度な気道確保をした後は、胸骨圧迫の中断は出来るだけ避けるべきと言うことから、胸骨圧迫は100から120/分の速度で連続して行い、換気は6秒に一回行うことになっています。これを「圧迫と換気は非同期で行う」と言います。

 高度な気道確保がされていない間は、胸骨圧迫を連続でしていると、胸を圧迫している時には肺にガスを送るのは難しく、上手く換気が出来ないから、圧迫を中断して人工呼吸を行うことになっています。つまり同期して蘇生を行います。

 しかし、俺は気道管理のプロだから、挿管されていなくたってちゃんと肺に換気を入れられるよ!と言う人がいたら、30:2で同期して圧迫と換気をしなくても良いのでしょうか?

 AHAのサイトを見てみると、最新のガイドラインは2015年度版ですが、2017年にアップデートされた物が載っています。そこの「1.Executive Summaries」の中の「Excecutive Summary - 2017 Update」の「Part 5: Adult Basic Life Support and Cardiopulmonary Resuscitation Quality」の「EMS-Delivered CPR」の中に答えがあります。

 原文は最後に引用しますので、必要な人は読んでください。気管挿管などをする前に、非同期の圧迫と換気を行っても良いと書かれています。ただし、やっても良いというような曖昧な言い方ですので、蘇生の講習会などで、30:2はもう古い!等と言うべきではないと思います。たぶんですが、講習会ではこの内容について触れない方が良いと思います。話したくなる気持ちは分かりますが(^^)。
 胸骨圧迫だけの心肺蘇生(Hands-only CPR)というのもありますから、大事なことは胸骨圧迫をしっかり行い、中断を最小限にするという事であり、それをきちんとしていれば、換気は少しぐらい推奨から外れても良いよって事なのでしょうか。

It is reasonable that before placement of an advanced airway (supraglottic airway or tracheal tube), EMS providers perform CPR with cycles of 30 compression and 2 breaths. It may be reasonable for EMS providers to use a rate of 10 breaths per minute (1 breath every 6 seconds) to provide asynchronous ventilation during continuous chest compressions before placement of an advanced airway.
These updated recommendations do not preclude the 2015 recommendation that a reasonable alternative for EMS systems that have adopted bundles of care is the initial use of minimally interrupted chest compressions (i.e., delayed ventilation) for witnessed, shockable OHCA.

 さて、「〜かも知れない」と聞くと、私はこの曲を思い出さずにいられません。メイキングビデオを見つけましたので、是非ご覧ください。今のように人気の出る前(売れるかどうかも全く分かっていない時期)の初々しい姿を是非ご覧ください。




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