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病気の可能性をどのぐらい高めるべきか? [医学関連]

 昨日は検査をすると病気の確率がどうなるかは検査によって違うし、検査をする前の確率も大切だという事を書きました。今日はどのぐらいの確率になったら治療をするのか?と言うお話です。

 最初に、何故検査をするのか考えてみます。一般的には、検査結果によって次の行動が変わるから行います。合コンで年齢や趣味、年収などを聞くのは、その回答によって、さらにアタックを続けるのか、別の人に行くのかを決めたいからです(たぶん)。趣味が釣りだと聞いたら、たぶんその人はいい人でしょうからさらにアタックをしますが、趣味が釣りでなかったとしてもいい人かも知れませんから、さらなる質問が必要です、、、、、、たぶん。



 合コンの場合には、この人がいい人である可能性が何%なら次も会うことにするでしょう?人により、場合により色々ですよね。医療の場合も同じです。

 例えば、風邪症状の人が来て、細菌が原因の可能性が20%だったとします。以下の本によれば、抗菌薬は細菌感染の可能性が5%以上であれば投与して良いとのことです。抗菌薬は不利益が非常に小さいのに、効果は非常に高いためです。この辺りも色々なので、是非以下の本をお読みください。





 例えば胃がんの手術をするとします。大きな腫瘍で、胃全摘が必要と考えられます。この場合には、胃を全部とってしまうことの不利益が非常に大きいため、もし癌でなかった場合、非常に問題になります。よって癌の可能性が非常に高いと診断されなければ手術はしません。

 しかし、激しい腹痛で救急車で運ばれて、胃に穴が空いているのではないか?と疑われたとします。この場合は緊急性があります(癌は数日の猶予があります)ので、今この場で決めなければなりません。手術の危険性も胃全摘に比べたら軽いです。よって、胃に穴が空いている可能性が70%程度でも手術を行うかも知れません。元気な患者さんだったら90%以上で手術するとか、全身状態が不良な人だったら50%でも手術だとか、いや逆に95%以上でないとダメだとか、とにかく色々です。

 患者さんの状態をどのように認識しているのか、そしてその状態が病気の治療にどのぐらい影響を与えるのか、病気そのものがどのぐらいの悪さをすると考えているのか、治療による不利益はどのぐらいと見積もっているか??その他色々で、病院によって医者によって治療方針が色々異なるのはその為です。どれが良いとか悪いではなく、そういう物です。

 ガイドラインや論文にこう書いてあったから、こうすべきだという人が医師にも患者さんにもおられますが、ガイドラインや論文に書いてあることがそのまま患者さんに当てはまるはずがありません。主治医の采配がとても大切です。

 合コンで誰を選ぶか、レストランで何を注文するか、同じ場所に行くのに着てくる服が違うとか、そう言うのと同じだと言ったら怒られるでしょうか。同窓会に着ていく服を選ぶ時も、自分に似合うか、他の人はどんな服を着てくる可能性が高いのか?憧れていたあの人は来るのか?会場はどんな場所か、二次会に行くかどうか、行くならどんな場所に行くだろうか?と言うようなことを総合的に考えるのと同じですよ。マニュアル本に同窓会は赤だ!と書いてあったとしても、その通りにすべきかどうかは色々です。

 インフルエンザだからタミフルを出せとか、頭を打ったらCT取るのが当たり前でしょ、熱が出たらCRPオーダーするのが当たり前じゃない?と言うものではないのです。よろしくお願いいたします。


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