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病院には病院の種類によって役割があります。 [医学関連]

 岐阜県で空調が壊れていた部屋にいた患者さんが立て続けに亡くなったと言うニュースが報道されています。警察が殺人容疑で捜査を始めたそうです。医療関係者は驚きを隠せないと思います。ええっ!!病院が怠慢なだけだろ!すぐ転院させるとかすればいいじゃないか!等を思われた医療関係者でない方に、是非知っておいていただきたいことを書きます。

 もし、あなたが突然事故や病気になって、あるいは癌と診断されて、入院して治療を受ける病院は、急性期病院などと言われています。治療を受けた後、痛みなどでなかなか自分で生活できる状態にならず、自宅での生活が出来なくなったとします。当然、その病院で入院したまま治療を受けたいですよね。

 しかし、その病院に長期間入院することは出来ません。なぜなら、長期間入院していると病院の収入が減る様な制度になっています。当然一人当たりの収入が減る患者さんは退院して欲しいと病院側は思います。また、ベッドが空いていないと、同じように入院治療が必要な患者さんを受け入れることが出来なくなります。病院は消費税が上がっても、物価が上がっても、得られる収入は国が決めているので、通常の会社のように色々もうけることは出来ませんから、当然早期の退院を望みます。ベッドの回転などと言うこともありますが、一般の社会では、そのような事は当然なのではないでしょうか。客単価とかそう言う話です。

 よって、急性期の治療が終わったら、長期間入院しても良い病院や施設に転院していただくことになります。そのような病院は急性期の治療は出来ませんが、長期入院していても大丈夫な収入が病院に得られます。つまり、国は長期入院していてもらっては困ると言っているわけです。国民のみなさんには直接伝えることなく。

 本来は自宅で過ごすのが一番でしょうが、色々な問題から難しいです。病院はそういう感じで役割を分担しています。

 そして、長期間入院出来る役割の病院や施設は足りません。足りないという事の定義は需要が供給を上回っていると言うことです。私は足りないと思いますが、充分足りているという人はいるでしょうね。足りているという定義の問題です。

 例えば、救急の患者さんを診させていただくと、寝たきりになってしまう人などがおられます。その患者さんの転院先を見つけるのは(正確には見つけてもらうのですが)なかなか大変です。今日転院先を探すことをお願いしたとして、決定するのは早くて来週です。そして、実際に転院できるのは、さらに1週間以上後です。1ヶ月も見つからないこともあります。ある施設は順番待ちが100人もいる(つまり退院するあるいは死亡する人が100人出ないと入れない)そうです。

 岐阜県の病院について、空調が故障したなら、患者さんを転院させたら良いじゃないかと言うのは、ほぼ無理です。転院先が見つかりませんよ。
 また、空調が壊れたとして、本当にその患者さんたちは熱中症で亡くなったのか?と言う疑問もあります。そのような病院に入院している患者さんは突然亡くなることもまれではありません。

 その病院がもし潰れたとしたら、きっと岐阜県の医療はかなり大変なことになります。その病院が潰れるだけで済みません。その近くにある、救急車をばんばん診ている病院も救急車を受け入れられなくなりますよ。

 今話題になっている岐阜県の空調が故障した病院のことは、こういった事を理解の上意見を述べていただけたら幸いです。

とツイッターで誰かが言っていたことを総合して書きました(^^)。

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