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急性冠症候群の対応は最中(もなか)です。 [研修医教育]

 急性冠症候群とは、胸痛や胸部不快感などで救急外来を受診し、適切な対応がなされなければ死んでしまうかも知れないような大変な病気の総称です。英語ではAcute Coronary Syndromeと言うので、ACS(エーシーエス)と言います。新しい48グループではありません。

 救急外来にACS疑いの人が来ると報告があると救急外来には緊張が走ります。

 こう言う場合には、簡単に対応を思い出せるようになっていなければなりません。よって多くは語呂合わせが作られています。ACSの対応は「MONA」と覚えます。山本モナと覚えましょうと私は習いましたが、きっと今彼女を知っている人は少ないでしょうから、これからは「MONACa」と覚えましょう。最中ですね。

 最後の「Ca」は「Cardiologist call」つまり循環器内科医に電話を!と言う意味です。カテ室コールでも良いですね。とにかくACSの人が来たら循環器内科の先生に直ぐ相談し、緊急カテーテル検査になる可能性が高いですから。

 以下の本のP.241に書いてあります。基礎編、応用編と全部読むのは大変ですが、心電図が好きになる本です。お勧めです。




 MONAについては以下の通りですが、上から順番に行うわけではないのが良くないですね。

M morphine モルヒネ投与
O oxygen 酸素投与
N nitroglycerine ニトログリセリン投与
A aspirin アスピリン投与

 モルヒネは痛み止めとして使います。第一選択はニトログリセリン投与ですが、無効だった場合に使います。また、血管拡張作用があるため肺水腫の治療にも使えます。ただ、血圧が下がる可能性があるので注意が必要です。呼吸抑制も有り得ますが、救急外来では普通のことですから、あまり問題ありません。

 酸素は色々議論がありますが、よく分からなければ投与して良いです。日本循環器学会のガイドラインには、次のように書かれているのですから。
 「クラスIIa・すべての患者に対する来院後6時間の(酸素)投与(レベル C)
 酸素投与により虚血心筋傷害が軽減される可能性が報告されており、また合併症のない心筋梗塞患者でも初期には換気血流不均衡や肺の液体貯留などが原因で軽度の低酸素状態にある場合があることから、緊急治療開始から最初の6時間は全例で酸素投与が勧められる。」

 ニトログリセリンは、4つの禁忌に当てはまらなければ使用して良いです。低血圧、著明な頻脈あるいは徐脈(心拍数が100/分以上あるいは50/分以下)、右室梗塞、バイアグラなどの薬剤の使用から時間が経っていないなどです。血圧が下がる可能性に注意です。

 アスピリンは以前こちらに記事を書きました。病院前であっても、投与することにエビデンスがあるようです。

 さあ、今日からACSには最中です!!

 覚えにくいという人は、優先順位の順(私の独断)に、CaOANMなので、顔はNMBと覚えましょう、、、、、、、、、たぶん。




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