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乳酸リンゲル液なんて使いやがって!と言われたら。 [研修医教育]

 救急隊員の方は条件を満たせば(救急隊員の方が資格を持っている場合かつ患者さんが適応の場合)点滴をすることが出来ます。病院に着いてから点滴をするよりも有用な場合があるからです(この点については、議論が多いのですが)。

 しかし、点滴製剤としては乳酸リンゲル液以外認められていません。そして全開投与が原則です。この場合の全開とはクレンメ(点滴の速度を調節するつまみ)を最大に開放し、点滴を救急車の天井にぶら下げることです。規則でそう決まっているのですが、それを知らない医療スタッフから、「こんな心臓が悪い人にナトリウムが多い輸液を、それも全開でやって来るなんて!」とか、「透析患者なのに何故カリウム入りの物を投与してくるんだ!」とか言われることがあるようです。

 もしそう言われた場合には、この記事と私の写真を見せると良いと思います。私は顔が怖いと言われていますので(^^)。

 全開投与については以前記事を書きましたので、こちらの記事をご覧ください。

 カリウム入りの輸液という点ですが、まずクラッシュ症候群に対してはこちらも以前記事を書きましたのでご覧ください。
 それから、カリウムが入っていない生理食塩水よりも乳酸リンゲル液を入れた方がカリウムが低くなったという報告もあるようです(PMID: 15845718)。

 乳酸じゃなくて酢酸や重炭酸にしろという意見に対しては、こちらの記事をご覧ください。

 また脳梗塞などで脳血液関門が損傷されている場合に、低張液を入れると脳浮腫が起こるかも知れませんので、透析患者さんが意識レベル低下している、、、、、、、、と言う理由でソリタT4を入れると悪さをするかも知れません。

 昨日書きましたが、何で乳酸リンゲルなんてやって来るんだ!と言う人は、救急隊の活動に関する無関心&自信がない人です。可愛そうだなと思うようにしましょう。


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