SSブログ

輸液、電解質が苦手な方へおすすめの本 [興味ある本]

 輸液、電解質と聞くと多くの人が苦手だと仰るのではないでしょうか?私も苦手ですが、特に一生懸命勉強している分野の一つです。学生時代に先輩で輸液が得意な先生がいたと言うことで、自分もそうなりたい!と思ったからです。

 私が大学3年生の時、昭和63年に昭和天皇がご入院されていたころに、侍医の方で輸液が得意な先生がいて、その先生の力もあり比較的良い状態でおられたと伺いました。その先生は私の母校で研修されたと伺いました。よし、俺もそうなるぞ!と心に誓いました、、、、、、、、、たぶん。

 よって、輸液や電解質については本を色々読んでいます。学生さんや研修医の先生にも色々とお伝えしています。今回は新しく出版されたこの本を紹介します。





 腎臓の尿細管などを6つの工場に例えるなど、とても分かりやすく書かれています。とにかく読んだ人に理解してもらおう、患者さんに役立ててもらおうと言う熱意が感じられる内容です。私も今まで研修医の先生や学生さんに色々お伝えしてきたつもりですが、こういう風に教えるのか!と勉強になりました。

 半端なくお勧めですので、ポチッとおねがいします!

 この本の最初に強調されていることは、脱水と細胞外液量減少の区別です。下痢をしている、数日間何も食べていない、熱中症で調子が悪い、、、、、、、、脱水があるだろうから輸液をしよう!と言っていますが、脱水があることは多くないです。脱水は水分のみの喪失で、血圧が下がったりすることはありません(高度でなければ)。つまりは脱水があればナトリウムが高くなっています。通常の生活をしている人は、ナトリウムが高くなれば口が乾いて水を飲むので高ナトリウムは直ぐ改善されます。よって脱水になる人は割と特殊な人です。砂漠などで水が手に入らないとか、自分で水が飲めないとか、、、、、
 通常我々が脱水と言っているのは、脱水+細胞外液量減少です。この本では脱水と脱Naと言っています。つまり塩分と水が不足しているのです。よって、生理食塩水等を入れようと言うことになります。

 私は医師という専門家なので、脱水だから輸液をしようと言わないようにしています。しかし、脱水という言葉をしっかり理解していない人もいますから、以下のように言っています。

「いわゆる脱水、つまり循環血液量減少、あるいは細胞外液量減少なので生理食塩水を入れよう!」
「高ナトリウム血症があるので厳密な意味での脱水があるから、5%ブドウ糖を2ml/kg/時よりやや少なめ、時間80mlで開始しよう」

 めんどくさいヤツですね。

 脱水については、以前記事を書いていますので、こちらもご覧ください。

 ちなみに、電解質とか、酸塩基平衡で特に大切なことがあります。それは全てを理解しようと思わないことです。全てを理解するのは到底深いのですし、多くの医師は、他に専門がありますから、そちらに多くの時間を割くべきです。よって、今日は脱Naという言葉についてだけ勉強しよう、今日は脱Naの治療の一つである生理食塩水について勉強しよう、、、、、、等と少しずつやっていくことです。分からないことは分からなくて良いのです!


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。