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アミオダロンの後押しは必要か? [CPRの基礎]

 心室細動に電気ショックを行っても、血管収縮薬(現在はほぼアドレナリン)を使っても除細動ができない場合に、抗不整脈薬を使っても良いとされています。

 一番有用だというエビデンスがあるのはアミオダロンです。生存入院率を高めると言われていますが、結局亡くなったり、寝たきりになったりしてしまいます。社会復帰率を高めるというエビデンスはないようです。

 が、救急外来から病棟へ入院できると言う事に意味はあります。よってアミオダロンは使うべきでしょう。

 この時に、後押しをすべきかどうか?がガイドラインなどにはっきりと書かれていません。今回はこれについて調べてみました。

 結論から言えば、後押しはすべきだと思います。なぜなら後押しをする事による不利益はほぼゼロだからです。

 AHAのACLSプロバイダーマニュアル(2015年ガイドライン対応の英語版)P.105には以下のようにあります。

 If a drug is given by the peripheral venous route, administer it as follows:
 ・Give the drug by bolus injection unless otherwise specified.
 ・Follow with a 20-ml bolus of IV fluid.
 ・Elevate the extremity for about 10 to 20 seconds to facilitate delivery of the drug to the central circulation.
 薬剤を末梢静脈ルートから投与する場合、以下のように行う。
・他に指示がなければ、ボーラス投与する。
・20mlの輸液をボーラス投与することで後押しする。
・薬剤が中心循環に到達しやすくするために、薬剤を入れた四肢を挙上する。

 そして、P.100にはアミオダロンは「IV/IO bolus」すると書かれています。よって、上記のように投与すると言う事になります。だから後押しは必要でしょう。

 しかし、救急蘇生法の指針2015医療従事者用には心肺停止時のアミオダロンの投与法について詳しい記載がなく、不整脈の項を参照となっています。しかし、ここには心停止ではない場合の投与法しか当然ですが書かれていません。P.47にはボーラス投与するとあるので、やはり後押しが必要ではないでしょうか。

 ヨーロッパ蘇生協議会のガイドラインP.123には以下のようにあるだけです。静脈内投与したら20mlの輸液で後押しすべきだと言う事は同じように書かれています。

 We recommend that an initial intravenous dose of 300 mg amiodarone, diluted in 5% glucose (or other suitable sol- vent) to a volume of 20ml (or from a pre-filled syringe) should be given after three defibrillation attempts irrespective of whether they are consecutive shocks, or interrupted by CPR, or for recurrent VF/pVT during cardiac arrest.
 アミオダロンは初回300mgを20mlの5%ブドウ糖(または適切な他の溶液)で薄めて静脈内投与する事を推奨する。投与する時期は、連続ショックかどうか、CPRを中断するか、再発の心室細動・脈なし心室細動かに関係なく3回の電気ショック後である。

 日本のアミオダロンの添付文書にも、20mlのブドウ糖に溶解して投与すると書かれています。

 よって、アミオダロンは300mg(2アンプル、6ml)を5%ブドウ糖20mlで薄めてボーラス投与し、20mlのブドウ糖で後押しするというのが一番良いのではないでしょうか。


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