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電気ショックを連続してしてはいけないのか? [CPRの基礎]

 心肺蘇生の講習会では、電気ショックを行った後は、心電図波形を診ることなく直ちに胸骨圧迫を再開しなさいと言われます。身体で覚えさせられて、忘れないと思います。
 しかし、連続してショックをする人もいます。理由を聞くと、え?だって昔そう習ったよって。確かにガイドライン2000までは3連続ショックが推奨されていました。つまりは2005年頃までですね。歌謡曲で言えば、まだまだ新しい、、、、、、、、、たぶん。

 後で述べますが、色々な理由により、ガイドライン2005からは電気ショックは1回になりました。その後はすぐ胸骨圧迫再開して波形も見るな!と。

 では、連続ショックはそれほど悪いものなのでしょうか?今回はそれについて勉強してみましょう。

 まず「ヨーロッパ蘇生協議会のガイドライン2010」からです。以下は私の下手な日本語訳です。
 もし、心室細動や無脈性心室頻拍が心臓カテーテル検査中や心臓手術後早期(胸骨圧迫により吻合部が損傷される可能性がある場合)に発生した場合には、胸骨圧迫を開始する前に3回までの連続電気ショックを考慮する。この三連続ショック法は、患者がすでに手動式除細動器に接続されているならば、初回の目撃された心室細動や無脈性心室頻拍の場合にも考慮してよい。この三連続ショック法を支持するデータはないが、心室細動発生直後の電気活動相の早期であれば、胸骨圧迫により心拍再開の可能性をより高める可能性は低い。

 そうなんです。CoSTRと言う救急オタクの経典にも、3連続ショックより1ショックの方が良いとする研究はないと書かれているのです。

 何故3連続ショックはいけないのかというと、以下のようなことが考えられます。
・現在使われている二相性の除細動器でショックを行えば、ショックの成功率は90%以上である。だから1回でいい。
・電気ショック前の最後の胸骨圧迫から電気ショックまでの時間は1秒でも短い方が成功率が高い。だから繰り返しの電気ショックの成功率は低い。
・ショックが成功しない場合には、心臓が低酸素状態にある可能性が高い。だから、それを治療するためには心肺蘇生が必要である。
・電気ショックを繰り返そうとすると、必ず胸骨圧迫中断時間が長くなる。胸骨圧迫の中断時間が長くなると蘇生率が低下する。だからショックを繰り返すのはよくない。

 心カテ中など、目の前で心室細動になった場合には、血液中に酸素がたくさんあり、心室細動による無駄な心筋のエネルギー消費を止める事が優先です。よって連続ショックが良いのでしょう。

 ただし、そのような状況はめったにありませんね。以下のようなことが実際にあるよりは頻度が高いかも知れませんが(^^)。



 しかし、2010年のガイドラインにも3連続ショックについての色々が書かれています。今年秋に出るガイドラインではどうなるのか興味深いところですね。

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めめ

知人に、今も心筋梗塞の治療中の方がいます。
深夜、奥さんが寝たまま呼吸が止まっていた本人を発見して、救急車要請しました。

奇跡?的に息を吹き返したのですが、電気ショックを
3回以上されたようで、胸には今も火傷のような跡があります。
私はちょっとこわいですが、いのちにはかえられませんね。
by めめ (2015-06-08 16:07) 

Kim

めめさん、コメントありがとうございます。

すごい電流が流れますからね。でもお元気になられたのであれば、病と闘った証です。よかったですよ!

by Kim (2015-06-08 16:16) 

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