術後肺塞栓の予防(その1) [整形外科研修]
術後肺塞栓と言う怖い合併症があります。これは手術を行い、手術は上手く行ったのですが、手術後に(最初に歩いた時などに多いようです)血の塊が肺に詰まって死亡する事もある病気です。整形外科の手術だけでなく、全ての手術、そして手術とは関係なくても起こりえます。
多くは足の静脈内に出来た血液の塊が肺に飛ぶ事によって起こります。つまり下肢の血液のうっ滞(渋滞すると言う意味ですね)が原因です。下肢の血流は、下肢の筋肉が動く事によって起こりますので、足を動かさないでいると危険が高いと言う事です。
手術中や手術後に足を動かさない(ベッド上安静)のが悪いとされています。飛行機に乗った時に起こるエコノミークラス症候群と同じものです。
これは予防する事が重要です。色々な所に資料があります。研修医の先生と調べたので、少しずつ紹介します。
今回はリスク評価です。肺塞栓の危険がどれぐらいあるかを評価し、危険が低い人は簡単な予防で、高い人は薬などを使いましょうとされています。
「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」と言うのが出ています。ダイジェスト版がこちらで見られます。
整形外科の所によれば、下肢ギプス包帯固定をされている人は危険が高いと考えられます。整形外科の患者さんには多いですね。こちらによれば、股関節全置換術、膝全置換術と股関節手術は抗凝固治療が必要ですが、それ以外の手術では薬以外の予防で良いとされています。
英語のガイドライン(http://chestjournal.chestpubs.org/content/133/6_suppl/381S.full#sec-73)もありますので読んでみて下さい。
多くは足の静脈内に出来た血液の塊が肺に飛ぶ事によって起こります。つまり下肢の血液のうっ滞(渋滞すると言う意味ですね)が原因です。下肢の血流は、下肢の筋肉が動く事によって起こりますので、足を動かさないでいると危険が高いと言う事です。
手術中や手術後に足を動かさない(ベッド上安静)のが悪いとされています。飛行機に乗った時に起こるエコノミークラス症候群と同じものです。
これは予防する事が重要です。色々な所に資料があります。研修医の先生と調べたので、少しずつ紹介します。
今回はリスク評価です。肺塞栓の危険がどれぐらいあるかを評価し、危険が低い人は簡単な予防で、高い人は薬などを使いましょうとされています。
「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」と言うのが出ています。ダイジェスト版がこちらで見られます。
整形外科の所によれば、下肢ギプス包帯固定をされている人は危険が高いと考えられます。整形外科の患者さんには多いですね。こちらによれば、股関節全置換術、膝全置換術と股関節手術は抗凝固治療が必要ですが、それ以外の手術では薬以外の予防で良いとされています。
英語のガイドライン(http://chestjournal.chestpubs.org/content/133/6_suppl/381S.full#sec-73)もありますので読んでみて下さい。
整形の先生方にとってこうした循環器疾患の
予防はちょっと敷居が高いのかもしれませんが
オペレーターがしっかりと予防をしていただくと
本当に助かります.
by yangt3 (2009-12-03 15:15)
yangt3さん、コメントありがとうございます。
今は予防をしない外科医はいないと言うぐらい浸透していますよ。こう言う事をしていなかった時代でも肺塞栓って診た事無かったですが、、、危険が少しでもあれば予防すべきでしょうね。
by Kim (2009-12-03 15:29)
私は履きませんでしたが、手術の時は、うっ滞防止の為に靴下を履かされたり、ポンプが巻かれたりしますよね。
やっぱり、靴下は、結構きついのでしょうか?
by shiraisi (2009-12-03 16:20)
shiraisiさん、コメント&nice!ありがとうございます。
靴下(正確にはストッキングです。靴下ぐらいの長さのものでも良いと言う説もあるようですが)はきついですよ。きつくないと意味がないですから。
by Kim (2009-12-03 16:31)
先日、ACLSプロバイダーコースを受講したとき、徐脈のシナリオで下肢の手術後に急変した患者さんです、さてH'とT’を考えてくださいと言われ、頭が真っ白になり”事故の限界の認識”(^^:を実感し、一緒に受講していた循環器の先生に、”建設的介入”を求めて"肺塞栓が考えられますね"とアドバイスして頂き、その場をしのぐ事ができました。練習だったので幸い助かりましたが・・・(^^;
改めて自分の勉強不足というか、基本ができていないことに気づかされました。
Kim先生、大変勉強になりました。
by ルックアップ (2009-12-03 17:30)
ルックアップさん、コメントありがとうございます。
ルックアップさんは医師ではなかったですよね。医師であれば診断してもらわないと困りますが、そうでない人たちは、HとTを見つけるために何をするのか、、、が分かれば良いですよ。
採血するなら何が必要か、、、カリウム、血糖、CK、トロポニンやラピチェック、血液ガスですね。
体の診察をするならば、下血していないか、体温が低くないか、どこか体の表面から出血していないか、吐血していないかですね。
心タンポナーデを見つけるには心エコーをするしかありません。
中毒、外傷は問診しかないです。
緊張性気胸は問診、胸郭の左右差など。
肺塞栓は、手術とか長時間同じ姿勢だったとか、、、、
低酸素だけで心肺停止になったのであれば、蘇生すれば戻るはずですが、重症な肺炎とかであれば急変と言うことはあまりないでしょうね。そろそろ心停止するだろう、、、ってわかっているでしょう。
が分かれば良いと思います。私は肺塞栓のシナリオを出したけれど、受講生の方が「心筋梗塞を疑います」と言われれば、そのまま合格としています。
実際の現場でも分からないこと多いですし、ドクターが採血!と言ったら、「先生、血液ガスもとりますよね、トロポニンも、、、、体温は直腸温で36度です!家族によれば、何か薬を飲んだと言う様な様子はなかったそうです。」などと言えれば良いんですから。
by Kim (2009-12-03 17:48)
私は転倒しかけて、膝の軟骨を傷つけてしまいました。
写真ではわからなかったのですが、MRIで見つかりました、
内視鏡の手術で、一週間くらいの入院で良くなるそうですが、
まだそのままです。
整形の先生は、連休前にするとあまり休まなくてもすむからいいよと言って下さっていますが、全麻だと言うしつい億劫で先送りをしていました。
周囲からは、とっとと治療を受けなさいと言われますが、早い話が怖い!が本音かも(++)
歩く時は勿論、微妙な角度で痛くて、夜何度も目が覚めます。
手遅れですなんて事にはならないと思いますが、他の科で筋電図の検査を受けた時、検査技師の方に膝に金属が入ってますか?って聞かれました。
2年経過してるので、来年のゴールデンウィークには・・・と思います。
by andante (2009-12-04 01:36)
andanteさん、コメントありがとうございます。
案外そんなに痛くなく終わるはずですから、受けられた方が良いですよ。歩くたびに痛いのと、手術の痛みと、、、どっちが楽か比べてみると良いでしょう。
by Kim (2009-12-04 08:11)
kim先生有難うございます。
なんだか医療相談見たくなってしましました。
Drにそう言って頂くと安心します(^_^)
春になったら思い切って(?)行って来ます。
by andante (2009-12-04 21:30)
andanteさん、手術上手く行く事を祈っています!!
by Kim (2009-12-04 22:26)
私も手術の際、この危険性の話をきき、かなりきついストッキング穿きました。しかし当たり前に考えたら手術の際、血の塊ができてもおかしくないですよね。
by T-CHIRO (2009-12-05 09:48)
T-CHIROさん、コメントありがとうございます。
私が医者になったばかりの頃(15年〜20年ほど前です)は手術後に止血剤を必ず点滴していました。出血すると困るからという訳です。
しかし、手術後はかえって血が固まりやすくなる(人間の体ってすごいですね!)こと、肺塞栓が日本でも注目されてきたことなどから、現在ルーチンでやっている所はないのではないかと思います。
肺塞栓の予防の薬についてはまた記事を書きますので、お楽しみに!
by Kim (2009-12-05 10:10)