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医療にファインプレーはあいません [雑談]

 医療ミス、医療ミス、、、、毎日のように新聞に載っています。とんでもないと思われる方が多いと思います。

 今回は医師が毎日どんな判断をしているか少し紹介させて頂きます。少し新聞の見方が変わる事を祈ります。

 まず野球の話を、、、、昔イチローさんが、セオリーにあわないプレーをしたそうです(結果はどうなったか分かりませんが、彼の事ですから勝利に貢献したのでしょう)。試合後のインタビューで、そのプレーについて質問されたイチローさんは、「引退したら話します」と答えたそうです。つまり、素人に話しても仕方ないと言う事でしょう。確かにセオリーは色々でも、とっさの判断です。う〜ん、と考えていたらボールやランナーは先へ進んで行ってしまいます。

 医療も同じような事があります。教科書に書いてあることをすれば患者さんが、助かるとは限らないのです。


 例えば、お腹が激しく痛いと言う患者さんが来られます。お腹が激しく痛いと言うのは、医師の緊張をさそう症状の一つです。これはやばいと誰もが思います。

 診察をさせて頂き、色々検査を行っても特に異常を認めないとします。普通は経過をみようと考えますが、もし上腸間膜動脈塞栓症だとしたら早く治療をした方が良いです。普通は検査で異常が出ますが、異常が出る前に治療を開始した方が良いに決まっています。手遅れになると腸が大量に腐ってしまい、助かったとしても一生点滴となり、一生と言っても通常1年ぐらいしか生きられせん(私の数少ない経験ですが)。

 よって医療の現場では、疑わしきは罰します。そうしないと、同じ患者さんが100人いたら何%かは死んでしまったり、重大なことになってしまうからです。何%が適切か?という決まりはありません。100人中1人しか死なないと言う事も出来ますし、1%も死亡するとも言えます。統計は、患者さん個人の事を考えたものではありません。その人にとっては100%か0かしかないのです。

 もしも治療による合併症が少なければ迷う事はありません。もし違う病気だったとしても、問題になる事は少ないからです。扁桃腺炎かも知れないなあ、、、、と思えば、抗生物質を飲んでもらいます。抗生物質の副作用は非常にまれですから、、、、そう困る事はありません。

 しかし、実際はそう甘いものではなく、治療にはある程度の合併症が伴います。手術を沢山行えば、何かおかしな事が起こって何%かの患者さんが死亡したりします。よって、病気の診断がついていないのに手術を行うのは難しい決断です。疑った病気であり、手術をして良かった、、、、となれば良いですが、最悪の場合には、疑った病気ではなく(手術は不要だった)手術により死亡した、、、、と言う事になる場合もあります。

 そして、この判断を時間をかけてゆっくり、多くの医師と相談して行えれば良いですが、通常どちらも無理です。夜であれば、疲れた体にむち打って、一人で判断しなければなりません。他にも患者さんが来ていて診療を待っている(遅いと言って怒っています!とか言われます)、今別の科が手術中でそれが終わらないと手術が出来ない、、、、、そんな時に難しい決断を迫られているのです。

 これは決してミスではありませんが、新聞報道などではミスだと報道されてしまいます。確かに亡くなった患者さん、そのご遺族からすれば100%ですから、、、、しかし、医師は沢山の患者さんを診療させて頂きますので、長年やっていればいつかは予期しない、あるいは予期されている重大な合併症に遭遇します。

 裁判などで、最新の文献を引っ張り出し、あの時にはこういう治療をすべきだったと言うのは簡単ですが、、、、、草野球の解説で、松井だったらホームラン狙いですよね〜とか言うのと同じです。医療現場にスーパーマンはあいません。テレビに常連の医師ならばこうしたはずなんて言われたら、、、、草野球でもプロと同じ事をしろと言われたら、草野球がなくなるでしょう。

 常に医師は、色々な状況を予想し、患者さんに最善の医療を提供できるよう常に頑張っているのです!簡単にミスと言って欲しくないです。

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ちょんまげ侍金四郎

今の世の中が「文句を言わなければ損だ」そんな世の中になっている気がしてなりません。
生活が中途半端に裕福になって、何かというと損得勘定を考えるようになり、そして逆に心が貧しくなりましたよね。

前記事でkim先生が仰ったとおり「人間はいつか必ず死ぬ」
そのことを忘れてはいけないと思うのです。
どれだけ生きたかではなくて、どう生きたか、それを誇れる(私には難しいですが(笑))人間でありたいと思います。

by ちょんまげ侍金四郎 (2009-06-01 10:48) 

Kim

ちょんまげ侍金四郎さん、コメント&nice!ありがとうございます。

おっしゃる通りですね。もちろんミスや犯罪はいけないのですが、何でも文句を言わなければ、、、、と言う事はないですよね。

昔ファミレスのモーニングで、卵の焼き方が悪いと言って作り直させていた人がいましたが、、、、、こんな人間にはなりたくないと思いました。本部の調査員かな?とも思いましたが、客や従業員に分かるようにはしないでしょうし、、、卵の焼き方にこだわるならば、自分で作ればいいんです!ファミレスのモーニングなんですから!!!

by Kim (2009-06-01 11:27) 

shiraisi

医療と言うのは不透明なので、何処から何処までと線引きが難しいものです。

ファミレスのモーニングで卵の焼き方が気に入らない…クレームもいいところですね。(文句があるのなら食べなきゃ良いと思います)
by shiraisi (2009-06-01 23:32) 

andante

医療には100%完璧であって欲しいと思っても、同じ疾病同じ医師による治療でも、人によって成功して変らない日常を送れたり、また一生背負わなければならない後遺症が残ったりします。だからと言って医療ミスと片付けられない場合もあります。生身の人間ですし、医師も神ではありません。人がこうして何事もなく生きているだけでも奇跡だと思っています。
by andante (2009-06-02 00:08) 

Kim

shiraisiさん、コメントありがとうございます。

飛行機事故の裁判でも、パイロットの操縦が悪かったといって訴えられているものがありますが、機長組合はおかしいと言っています(突然の揺れが操縦桿操作のミスだというのでした。一人客室乗務員さんが亡くなっています)。

突然の事ですから何が正しいか、正しくないか、、、、難しいと思います。

文句があるなら来なきゃ、、、、と言うのは病院でもありますよね(^o^)。

by Kim (2009-06-02 18:59) 

Kim

andanteさん、コメントありがとうございます。

そうですね。同じ先生でも、体調とか色々ありますから、、、、

運が良いとか悪いとかそう言う物もあると思います。納得できない場合もあると思いますが、、、、、

御巣鷹山の事故123便も、確か明石家さんまさんは予約がとれなくてあの便に乗れなかったらしいです。運と呼ぶ以外に何があるでしょう?

by Kim (2009-06-02 19:02) 

andante

kim先生こんばんは
御巣鷹山の事故から、もう18年経ったのですね。関係者の方にすればまだ18年かもしれません。どうにもならないことなら、運が悪かったと納得するしかないのでしょうね。それでなければ先に進めませんから。さだまさしの「無縁坂」の歌にあるように、運がいいとか悪いとかってそのとおりですね。なにより健康で仕事が出来る事が一番幸せですね。
by andante (2009-06-03 00:11) 

Kim

andanteさん、コメントありがとうございます。

無縁坂私も思いながらコメント書かせて頂きました。

ちなみに、御巣鷹山の事故は1985年です(阪神が優勝した年です)。今年で24年になります。

by Kim (2009-06-03 08:21) 

andante

kim先生こんばんは
間違って記憶していましたね。失礼致しました。
18年は別の出来事でした。映画にもなった原作の「クライマーズ・ハイ」は、臨場感溢れる感動作でした。
by andante (2009-06-04 23:42) 

Kim

andanteさん、コメントありがとうございます。

クライマーズハイは小説で読みましたが、、、、是非映画見てみたいです!

色んな所で色んな人が頑張っている事、、、少しでも理解したいですね。

by Kim (2009-06-05 00:24) 

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