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過換気症候群にペーパーバッグはいけません [医学関連]

 過換気症候群と言うのがあります。過呼吸とも言います。厳密には、我々がしている呼吸は換気ですので、前者が正しいです。これは精神的なショックなどによって換気をしすぎて二酸化炭素が減り、体の中がアルカリ性に傾き、手がしびれたり、余計に不安になったりする病気です。救急をやっていると時々おめにかかる病気で、精神科は苦手なので、、、、あまりお目にかかりたくない病気です(すみませんm(__)m)。治療は、精神の安定を促す(一般的には薬剤を注射します、精神科の先生ならお話を聞いてあげる事で達成できるんでしょうね)ことと、二酸化炭素を増やす事をします。
 病院につくとたいていは紙袋を口に当てられ、シンナーを吸う時(?)のように紙袋の中の空気(自分の吐いた息)を吸うように指示されます。これによって二酸化炭素を再呼吸し、二酸化炭素を増やそうと言う訳です。
 しかし、これは低酸素となるので良くないのと、有効な事がめったにないのとで、不要では?と個人的には思っていましたが、今日先日の本を読んでいて見つけました。228ページにありました(一言エビデンスがないと言う意見もあるんだと書かれているのみですが)。興味があったので、ネットで検索していたら文献を見つけました。eMedicineという会員制の(でも無料です)英語のサイトです(私は会員になっていますが、、、、ネットでヒットしたら大丈夫かな)。
 そこには、過換気の原因が重篤な病気である可能性も有り、その場合には死亡させる危険もある、二酸化炭素そのものが患者さんの不安を助長させる可能性もある、低酸素を来たし死亡させたと言う報告もある、などからペーパーバッグは勧められず、有効性もほとんどないと書かれています。

 知りませんでした、、、、本当に常識がすぐ非常識になりますね、、、勉強が大変です!


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Kim

あいこさん、いつも見て頂きありがとうございます。
by Kim (2007-06-05 10:41) 

Kim

burubonさん、nice!ありがとうございます。
ブログ一つ一つの記事が分かりやすくて良いですね!これからもお邪魔させて頂きます。
by Kim (2007-06-06 11:21) 

Kim

Hirosukeさん、nice!ありがとうございます。
by Kim (2007-06-07 12:18) 

M

時間がある時に拝見し、勉強させて頂いております。紙袋を利用した呼吸が有効でないとの事に少々動揺しております。
例えば仮に、教育現場などで生徒が過換気症候群になった場合、教員としてはどのように対処すればよろしいでしょうか?
御指導頂けましたら幸いです。
by M (2014-01-09 20:31) 

Kim

Mさん、コメントありがとうございます。

教員の方は生徒さんが病気になることも多いでしょうから、ご心配ですよね。

生徒さんがもし過換気になったら、すぐ救急車を呼んで構いませんよ。もし何かするとすれば、落ち着かせること、息を吐かせることです。

ある有名な救急の先生は、過換気の人が来たら、話を聞いてあげる(どうしてこうなったのか、今どんな気持ちなのかを話してもらう)そうです。

息を吸いすぎて苦しいのが本来の病態で、苦しいからどんどん息を吸ってしまうのがいけないのです。息を吸わなければ良いので、話をしてもらえば良いと言うことです。精神的なことがきっかけになる事も多いので、話を聞いてあげることは理にかなっています。

by Kim (2014-01-09 20:48) 

M

早速のご回答を有難うございました。
私自身は教員ではありませんが、教育現場では時々ある事なので知人にシェアさせて頂きます。
先生のブログからFacebookへ直接シェア出来るようにして頂けると嬉しいです。
by M (2014-01-10 22:39) 

Kim

Mさん、ありがとうございます。

お役に立てて幸いです。

Facebookではいいね!を押すことは出来ますが、直接シェア出来ないようです。FBアカウントでコメントを入れる事ができるようですが、以前それをオンにしていても、誰も書かれなかった(確かに実名がでますからね)のでやめました。お手数をおかけして済みません。
by Kim (2014-01-10 23:12) 

M

なるほど、そういうことなのですね、了解致しました。
Kim先生はもしかして名古屋の御出身ですか?
私も名古屋生まれです、宜しくお願い致します!
by M (2014-01-12 12:58) 

Kim

Mさん、コメントありがとうございます。

私は名古屋出身ですよ。高校まで名古屋にいました。医者になってからも名古屋の隣の市で合計12年働いていました。

そのうちお会いするかも知れませんね(^^)。

by Kim (2014-01-12 14:02) 

あすなろの木

初めて、ブログをみせていただきました。

低酸素を来たし死亡させたと言う報告もある、などからペーパーバッグは勧められず、有効性もほとんどないと書かれています。

というのを見てショックを受けました。
実を申しますと、私には生後5カ月から障害をもつ息子がいます。
この子が癲癇になった時に、医師が過換気症候群と勘違いをして、ペーパーバック療法をしようと思い、ペーパーバッグがなかったので、ビニ―ル袋を頭に被せるという行為を2回した。と聞いていました。

そして、其の時に息子は、植物人間状態になり、現在も人工呼吸器を装着しております。

医師からは、そういう治療方法には、論文もエビデンスもあると、聞いていたのですが、今回、こちらの内容を拝見させていただき、ショックをうけました。

そこで、ご質問をさせていただいてよいでしょうか?

ペーパーバッグではなくビニール袋を使用した。医師に聞いていたのですが、セルシン(注射)とダイアップで寝ていた状態の息子にビニール袋を頭に被せた?と聞いたのですが、それって危険性は無いものなのでしょうか?

又、この療法は、頭に被せる必要があるものなのでしょうか?
口にあてがえば済むものなのではないでしょうか?

非常にショックを受けております。

どうぞ、どうぞ、ご回答をお願い申し上げます。

by あすなろの木 (2015-01-31 12:30) 

Kim

あすなろの木さん、コメントありがとうございます。

ペーパーバッグとビニール袋の違いはありません。どちらでもいいでしょう。

私は小児科でないので、それ以上のことは分かりません。子供はマスクを嫌がったりと酸素投与がやりにくいので、ビニール袋を使ったのかも知れませんし。

頭に当てるのと、口だけに当てるのとは、大きな違いはありません。子供さんはマスクは使いにくいです。ましてや乳児なら。

痙攣発作を過換気と間違えるというのは、私には分かりません。何かの勘違いではないかと思います。酸素テントのことではないかと思いますが。

それから、ネットで医療相談はすべきでないと考えていますので、詳細なことをこれ以上書いていただいてもお応えできません。ここで書いていることは一般論であり、一般論から外れることをしなければならない状況はたくさんあります。私はペーパーバッグ法をしませんが、したからと言って絶対ダメだということはないです。利益と不利益を知った上で行うのは全く問題ありません。

by Kim (2015-01-31 13:17) 

Kim

ビニールは密着するから危険性が高いという記載をあるSNSで見ましたが、関係があるかどうかは私にはよく分かりません。


by Kim (2015-02-04 20:02) 

strigata

適切なペーパーバッグ法を施行されていないのが問題であり、ペーパーバッグ法が危険と言うのは極論です。
by strigata (2017-05-15 09:52) 

Kim

strigataさん、コメントありがとうございます。

本文を読んでいただければ、いくつかの資料にそう書かれていると述べています。
極論かどうかはそちらも読んでいただけたら嬉しいです。

by Kim (2017-05-15 23:42) 

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